日高市市議補選

 日高市の補選の結果がでました。田中まどかさんの当選です。5377票、一方、井上秀隆氏は2926票。大差でした。これほどの差が出るとは事前に予想されなかったことですが、いくつかの要素はありました。
 まず候補者としての力強さが田中さんにありました。子育てのボランティア運動を長くやり、また市政改革運動を起こしてきた「みんなの会」の一員としても活動してきた経歴から、主張を展開するにふさわしい資質を備えていたことです。
 選挙運動期間中に強調したその主張の一つに議会改革があります。保守系議員が大半を占める日高市議会の偏った運営と判断、行政をチェックする議会としての本来の機能が果たされていないという批判です。
 現在の日高市議会の欠陥は、この一点につきます。私も依頼に応じ、この点に絞った応援演説を行いました。
 市長を無批判にかつぎ、市長はみんなでかつぐおみこしの上に乗り、結果として、行政が緊張感のない集団となっている、そして日高市が見掛け上の平穏にかかわらず危ない方向にいきつつある、という感触を持っている市民は結構存在するのではないかと思います。
 それに、今回、市長選がなく無投票になったことへの怒りがあったと思います。対立候補の井上氏は、最初から大沢市政への完全支持を打ち出していました。その意味では、日高市議会の保守をさらに強化する役割でしかなく、議員としての本来的役割から言っても、日高市議会の有り様から言っても全く新味はありませんでした。
 ポスターからにじみ出る田中さんのさわやかな印象も大きな要素だっと思います。女性候補としてパワーを最大限発揮されました。
 この当選によってすぐ日高市議会が変わるとは思えませんが、徐々に変わる契機となることは間違いありません。きめ細かなテーマから、日高市政の偏った総体とは何なのか、大きな課題を視野に取り組んでほしいものです。
 問題なのは、有権者4万6228人で18.53パーセントという低投票率です。市長選がなくなった時から低投票率は予想されていましたが、これほど低いとは。これは、一概に関心が低いからという問題でもありません。
 市政の実態が分からないから関心が湧かないという状況があります。中央の政治は、マスコミがどんどんあらゆる角度から報道してくれますから居ながらにして、詳しく分かりますが、地方政治は県も市町村もよほど関心をもって継続的に眺めていないと実態がつかめません。
 メディアがなく知る術がまずない。市広報誌もホームページも、情報を系統的に政策の履歴を明確にして市民に知らせているかというと、そんな状況ではないし、何よりも隠す体質があるから都合の悪いことは表に出てきません。日高市議会のように市長擁護で固まっていると、議員も行政も緊張感に乏しく、必要な情報が出てきません。
 議員も包括的に市政を報告することもありません。あったとしても、掘り下げと問題把握が乏しく、せいぜい自分の質問だけであったりするのが実情です。9区県政においては、市民に知らせるという極めて当然のことすら果たされていません。
 この情報過小を埋めなければ、状況はいつまでも変わらないと思います。地方分権ということが言われていますが、地域の情報環境の改善が必要です。市民も分権(本来の市民の権利)への理解力・探索力を鍛えていかなければならないと思います。
 “寄らしむべし、知らしむべからず”の後の何がくるのか、私たちはもっと気にすべきだと思うのだが。それにしても、暇と時間ができた人もたくさんいるはずなのだが、地域の問題に関心は向かないようです。