研修第1日目、地方議会の存在の軽さを思う

 昨日、掲載した市政報告のPDF文書の調子がおかしかったので、再度作り直してアップしました。
13.10 会派市政報告単ページもの.pdf 直
13. 10 市政報告単ページもの.pdf 直

 今回の研修のプログラムがこれです(画像ソフトを通さないで直接読み込みだから暗いまま)。首長の実際の市政運営の話、実務家の話、地方自治を取り巻く環境についての学者の話し、そして地方行財の専門家、このJIAMではお馴染みの“地方交付税に関する真打ち”関西学院大学の小西教授。最後に市場公募債の話、とほぼ毎回の講義の配列は同じ傾向です。

 「津市における行財政改革の取り組み」
 津市長 前葉泰幸氏
 講義の第1日目は、大体今までの研修からして、近隣自治体の首長さんの講演が多い。昨年は松坂市の市長だった。そういえば、今日の津市もそうだが、昨年の松阪市はじめ四日市市など、紀伊半島には議会改革や行財政改革に熱心な自治体が多い。三重県知事で改革派と呼ばれた北川正恭氏の影響なのだろうか。
 議員の前に出てきて講演を行う首長さんは、政策に強く、進めているまちづくりに自信を持っている人が多いようです。今日の前葉氏も正にそういう感じがしました。
 東京大学法学部出身で自治官僚だったということを言えば十分。さらに県庁の税務課長、財政課長を経験し、しかも外資系金融機関の日本支店副支店長の仕事も経験している、正に鬼に金棒です。2011年に津市長就任。政治家としては、以前に宮城県知事選に出馬し浅野氏に敗れています。
 講義は、政策形成に際して市長の周囲との関係がどうであったから始まりました。議会、議員個人個人、職員、市民。実に雄弁、裁ち板に水のように切れ目無く言葉を繰り出します。これなら「職員は(自分に対して)是の方向でやってもらえた」というのも分かります。 
 特に印象に残った話は、第3セクター改革のことです。
中心市街地に残った商業施設撤退後の建物
・それを所有している第3セクターの負債と返済
・近くにあった耐震性無い公民館の建て替えと福祉センターの設備更新
 最初は関係なかったこれらの案件を全部連携させて、お荷物施設の活用と既存施設の更新を一度に実現させ、新しい交流と市街地活性化を生み出した。これを実現させたのは、政治家としての方向性の示唆と強いリーダーシップであったということ。役人には絶対できない仕事として、政治家である議員の聴講生に訴えたかったことであると思います。
 次の講義は「地方行政の現状と課題」、総務省自治行政局 行政課長の話です。人事があって昨年の課長とは違う方です。この話で、総務省が、合併という大仕事の後で何を考え、どのような仕掛けで進めるのかが非常によく分かりました。
 報道やネット情報及び出版物等の断片的勉強で何となく分かったつもりでいても、国がどんなことを考えているのか、制度や仕組みの構造と合わせて正確に知ることはなかなか難しい。
 地方議員は、日ごろは総合政策の下にぶら下がっている個別事業に関しての詮索が大部分だから、自治行政課長が話す木も見て森も見る全体状況についてはほとんど知らないと言って良い。もちろん不勉強があるのだが、これだけ次々と繰り出されるいろいろな施策の方向性を見極めるのは本当に困難だ。
 役所は能力の総合発揮で組織として対応するのだが、議員は大半は個人事業主のようなものです。勉強も情報収集も個人の努力によるところが大きい。最後は道州制に至る地方自治の太いダイナミックな動きの中で地方議員は、何をどう考えるべきか、いささかちっぽけな存在を認識せざるを得ない。
 地方分権と言ったところで、地方議員の実力が上がる訳ではない。器は拡大しても、下手をすれば茶碗に着いている飯粒のような存在になるのではないかという印象さえあります。
 その一方で、広域化や共同事務化や協議会等の従来の地方議会の守備範囲では収まらない基本的な流れがあります。そうなると、基本は個人からなる会派制の議員集団で対応できるのか、という心配も起こります。余程、地方議会のレベルが上がらないと追いついていけない。話を聞いているとそういう感じがしてきます。
 総務省が進める法的制度的な地方自治の変革に乗ったもう一歩実際の政策に即した話になると、ますますその感がします。それが講義3番目。
 一橋大学大学院法学研究科 辻琢也教授の講義。「超高齢化社会の到来とこれからの地域経営」。この先生は、総務省ほかいくつもの審議会の委員を努めていて、社会の変遷に伴う地方自治改革を政策としてどう進めるか、理論と実際を架橋する仕事をされています。
 社会の動きを統計データから検証し、それが地域のニーズと総務省が勧める地方自治改革にどう合致するかを検討していると見受けられました。資料はその検討過程を学者らしい緻密な配列で検証し、最後に結論。それが下の図です。
 学者らしくきれいに結論付けていますが、さてこの中に日高市を落とし込むとどうなるか。ここからが本題です。私なりの推論と無手勝流の検証はできるが、考えながらの沢山の言葉が必要でとても気楽には書けません。
 いずれにしろ、地方議員としての不勉強と先にある課題の大きさに忸怩たる思いをした最初の日の講義でした。