チップ埋立て田んぼから悪水

 昨晩、川の様子がおかしいという連絡をもらって、今朝は7時過ぎに田んぼに。それから水利組合のメンバーと一緒に、田んぼにチップを埋め込んだ場所の実地検分を行いました。
チップを埋めたという一帯から、中央を走る水路に青黒い液が染みだしている。土が盛られた部分ともとの地面の境の辺りからで、水路の上流から川への流出点まで広い範囲にわたっています。
 一昨日、友人を田んぼに案内した時、川の水の様子から「何かおかしいな」と感じました。水の色が青黒い。あのような染料を流したような色になったことは一度も無い。川床も、白い何か分からない得体の知れない房状の物質がびっしり付着しています。




 各箇所をデジカメに収め、市役所へ直行。環境課と産業振興課の農政担当および農業委員会に、撮ってきた写真をパソコンに再現しながら説明しました。状況を把握してもらい、担当である産業振興課の農政担当に現場の確認を依頼しました。私も女影に戻り、いっしょに現地で状況を確認し、まずは漏出の正体を掴むため、水質検査を行うことで意見が一致、至急の対応をお願いしました。
 心配です。悪臭を伴う青黒い液体が川に流れ込み、川床の砂利をはじめ凹凸のある箇所すべてに、見たことのないマリモ状のものがへばりついている。これでは、今年のコメづくりはダメかもしれない、そんな思いがよぎりました。地元の方の思いも同じ、皆さん不安を口にしました。
 この悪水の正体を確認するまでは正確なことは言えないのだが、しかし明らかに環境の異変が起こっている。川が汚れ変質しているのだ。水の色と川床のこの状況で、水中生物が生き延びられるだろうか。川に魚の死骸が上っていないが魚の影がない。
 今までも悪臭が発生し、ハエが大発生したことがあります。チップを埋めたとは言うが、何か異物が混入されていた可能性があります。液体の漏出は初めてで、何が埋められたか、あるいは自然の有機物の“あく”であるのかはっきりさせる必要がある。
 しかし、とうとう、こういうことが起こったな、という感じです。私は一昨年から始まった整地と、その後のチップの埋め込みは目の前で観察してきました。最初のチップの埋め込みが始まったのは、私がやっている田んぼのすぐ目の前。いつも足を運んでみていました。業者とも話したことがあり、どういう経緯でやるのかも当然聞きました。その時の印象は“あぶないな”です。
 耕作放棄されていたこの辺の田んぼの整地が始まったのは一昨年。県道から下小畦川下流一帯の田んぼが耕作されずに随分長い間、放置されていました。景色を見れば一目瞭然、何年も手入れ、草刈りされていない田にはアシ、ヨシがはびこり、一部には柳などの潅木も茂っていました。こうなったら田に復元することは無理、伸び放題です。
 そこにブルドーザー等の重機が入り、畦を崩してあっと言う間に、一続きの約6ヘクタールの広大な赤土の土地が出現しました。28軒の地権者はまとめて土地をある牧場に貸し、そこに飼料用の作物が栽培されるという。
 この農地造成は何がきっかけで行われたのか。
 こういうことだったようです。手入れが行き届かず景観は悪い上に、冬の雑草の枯れ草に火がついたら燃え広がることなどを懸念した地区の人が、自分たちには管理できない、何とかしてくれと日高市に頼み込んだ所、ちょうどその時、ある予算の存在がありました。
 農水省の「耕作放棄地再生緊急対策事業」という事業で、埼玉県が仲立ちをしていました。年度末もあって消化にピッタリの条件が整っていたのではないか。事業が成立すれば成績が伴う。一部であれ地元の要望と予算の存在と見える成果の3つが一緒になれば、行政にとってはチャンス、計画は推し進められます。その土地がどういう特徴を持っているか、周囲の環境との親和などは顧みられず、です。
 この農水省の事業は平成21年度からの3カ年計画で、全国対象に約206億円の予算が立てられました。実際の工事の仕組みと金の流れが対応していなくて、我々一般の者から見ると何か非常に複雑であったような気がします。
 市町村関係の窓口は農業委員会で、日高市は農業委員会関係の情報はほとんど発表していないから、外から見る限りどこの何の工事か分からなかった。国と県と市の合同事業のようなものであったが、工事の看板も出ていなかった。
 私は地権者でもないし地元の人間でもないので、表立って言ってはこなかったのですが、この整地には、内心反対でした。大きな問題が隠されているからです。それはキチンと書きたいが、まず、この悪水漏出を解明、解決しなければならない。