県民提案事業



 埼玉県の事業に「みどりの埼玉づくり県民提案事業」というのがあります。平成20年度から始まり今年で4年目、川やみどりに熱心な知事の肝いり事業です。担当部署は、環境部みどり再生課。
 写真は平成21年度と24年度のもので、今年度のパンフレットは市役所環境課の窓口に積まれています。21年度のパンフレットは、平成20年度の最初の募集に私が応募した後に、次年度の案内として県から送られてきたものです。
 最初にこの企画が県から発表された時、市民参加を前面に押し出したいい企画だと思いました。川の再生が市民参加を言いながらも土木事業が主目的であるのに対し、みどりの再生は市民主体が前面に出ているのではないかと思います。
 水源地域の森林づくり、里山や平地林の再生、身近な緑の保全・創出・再生、環境意識の醸成――これらについて県の行政に望む施策や取り組むべき事業のアイディアを県民が提案し、ふさわしい事業を補助したり県の事業として取り上げるというものです。県内で活動しているたくさんの環境ボランティアの活動を後押しし、一時的ではない継続的事業として行い、みどりを生活に根付かせるしっかりした行政の意思を感じます。
 20、21年度の企画の時は現在と少し違っていて、個人、グループが応募できる部門と事業者が応募できる部門の2本建てだったと思います。現在は個人がなくなりグループのみとなったようです。
 最初の応募の時、これはいいと思って、自分の頭の中にあったアイディアを提出しました。アイディアの一部は実際に行事化していましたが、恒常的な活動としてあったものではなく、田んぼをやりながら漠然と考えていた“将来構想”でした。
 結果として、採択に至りませんでした。もちろんアイディアの中身の良し悪しもありますが、こういう活動はグループとしての地元の住民の参加がどれほどあるかが判断の一つの基準になると思います。それが不十分であることは否めません。私の友人、岩田小鹿野町議もこれに応募したことを後で知りました。地元住民で作る花いっぱい運動の活動で、継続して採択されているようです。
 女影では、地元住民にとっては景観と環境は生まれながらのものにして改めて認識する対象ではありません。生まれてから毎日囲まれている空気のような存在で、いいも悪いもないのです。変わるも、変わらないも、あるがまま、なすがままです。その結果、めんどう見切れない農地は“放棄農地”となってしまい、結局、公の管理にまかせることになってしまいました。
 その結果が、今回の悪水漏出による川の汚染でした。この経緯については別に書いているのでここでは触れません。
 これを契機に分かったことは、景観と歴史を心の中で誇りに思い非常に重視している住民の方が多くいるということ、ただそれをなかなか口に出さないことも分かりました。また、私のこれまで言ったきた景観と環境と生活の関連の意義を自覚的に認識し始めたことです。
 私も、田んぼの整地とチップ埋立てが始まってこのアイディアをお蔵入りと一旦はしましたが、川の汚染とJRのハイキングイベントがあったことから、もう一度取り出してみました。