女影で起こっている2つの出来事

 女影でいま進行しつつある2つの出来事について書きます。    
 一つは、現在、検証が行われつつあり、対策が急がれる田んぼ埋立地からの悪水漏出問題。いまだ青黒い水の漏出が止まず下小畦川を汚染しています。春の水ぬるむ季節に、動くもの一つ見えず、澄んだきれいな川が今やどぶ川と化してしまいました。この河川・環境汚染の真相を明らかにし、目前の対策を講じ、かつ恒久的なこの地域のあり方を考えなければなりません。
 もう一つは、JR東日本が考案した日帰りハイキングの企画です。これはJR東日本が最近新しく始めた「駅からハイキング&ウオーキングイベント」という観光商品で、東京近郊の自然と歴史を訪ね歩くものです。
 この企画に首都圏から数百人が応募したとのこと。女影の素晴らしい景観に接して感動することでしょう。しかし、彼らが散策する足元の川が、こんなドブ川では恥ずかしいではないか
 川の汚染は続いています。雨が降ることで底のヘデロ状は流れるようですが、再び増殖してきます。市の水質調査は出ましたが、予想していたように、違反物質である重金属は検出されませんでした。
 これは排出源からすれば未検出は当然で、問題はどんな有機物の汚染物質が流れ出ているかです。川本流は上流からの水で薄められてしまうので低い数値ですが、悪水が漏出する水路は、
 BOD2700mg/L
 COD640mg/L
 DO<0.1mg/L
という極めて悪化した水質です。悪化どころではない、この数値は生物が全く住めない環境です。

 BOD(生物化学的酸素要求量)は、有機物による水質汚濁の基準で、川の環境基準類型AAでは、1mg/L以下です。かなり汚染された水でも10mg/L以下ですから、この高濃度がいかに異常であるか分かります。
 川の環境基準類型AAというのは、環境基本法で定められている、生活環境の保全に関する水質環境基準について、川ごとに決められている格付けレベルです。埼玉県では6段階あり、高麗川と小畔川は1mg/L以下の基準です。下小畔川は小河川で特にレベルはないのですが、小畔川とに準じると見ていいと思います。
 DO(溶存酸素量)も、きれいな水の数値が9mg/Lで、この値が下がれば悪化していることになります。汚染された水でも5mg/L以上だから、この数値の異常性が明らかです。
 川に生き物の存在がないはずです。水質の代表的指標である3つの数値が生物の生存限界を超えているわけだから。この汚染の原因は何か。。