イオンアグリ続き



イオンアグリ創造(株)日高農場
平成23年9月1日に正式開場
・面積6.8ヘクタール
・農場は田波目地区の25カ所に散在
・栽培作物はハクサイ、キャベツ、カボチャ等の重量野菜
・栽培方法は通常の慣行農業
・反当たり賃借料は無料〜5000
・社員3人+パート23人の26人
 農場長I氏は幕張本社スタッフとして千葉県に在住だったが、今は日高市近郊に引っ越して農場に通う。“農民”と言っても、そこは大企業の社員だ。厳しい品質の基準を満たし、生産性の基準を満たし、社内バイヤーの要求を満たさなければならない。
 しかし生産性の向上について日高農場特有の条件もある。25か所に散在する農地です。耕作地が集約されていることが生産性の条件であることは当然です。トラクターほか人員の移動を考えれば悪条件です。そういうコマ切れ農地の不利な条件を補う他のいろいろな条件、インターに近い、大型トラックが入れるとか栽培だけではない流通上の条件が比較的よかったのではないかと思います。
 25カ所に散らばっていれば地権者は多く、まとめるのは大変だったと思います。土地を必要とする大規模開発や農地集約は地主との交渉が最大の課題。企業側の要望も地主の意向次第、この交渉を県と日高市が行ってイオン参入のお膳立てを作れたことが成功のカギと言えます。
 イオンは、適地があれば日高市でいくらでも農地が欲しいようです。しかし、耕作放棄地は多くても全部が適地とは言えない。田波目は本来の地であれば、クロボクの野菜栽培に適した土壌です。しかし、あちこちで埋め立てやかさ上げで本来の土壌とは違った様相となっており、地権者の同意もさることながら別の条件があります。日高市はそれをクリアして参入企業に農地としての保証しなければなりません。そう簡単に、右から左に貸せるわけではないのです。
 昨年の決算書に40数万円の土壌検査の費用が計上されていました。これは農地の農業適性を保証するために日高市が行った検査の費用でした。この検査の結果を見て、イオンは参入することになったのです。賃借の条件を県と日高市が整えての約7ヘクタールですが、25カ所に散在は企業参入のメリットを活かせない中途半端なもので、農地の集約と一層の拡大は必要だという。
 イオンの農業経営ビジネスモデルは10ヘクタールを基準にしている。そのうち1〜2ヘクタールをハウス栽培に充てる。ハウスで回転の速い葉物を栽培し、露地で栽培期間が長いものを作るという組み立てのようです。
 日高農場はその基本的条件を満たしていないし、さらに主農場の形が不整形で作業性が問題あるなど、いろいろ解決すべき点があるので、更なる周辺への拡大を望んでいる。しかし周辺部には空いている農地もあるが、優良農地は少なく雑木が生い茂っていたり、かさ上げ農地があったりと整備が必要であることは一見して分かります。そういう点が賃借料にも反映しています。
 担当I氏はいいます。重役は北海道のような景観のいいところの農場を望むんだがそれは理想、と。しかし、日高農場周辺の雑然としてきれいではないという状況が気になるようです。道路を隔てた所と隣に残土の山がある。イオンの農地の拡大によって周辺地域もきれいになっていけば、それも参入に伴う効果となります。
(続く)