採決 可否同数

埼玉自治体問題研究所の講演会に午後から。住民大学、県民公開講座と称しているから一般市民も対象の講演会です。
エレベーターを降りて目の前の受付で資料代1000円払って、会場に入る。?……?……?
演壇の後ろに「八紘一宇…………憲法……」(多分、憲法という言葉も入っていたような気がします。もしかしたら、勘違い)。会場が違いました。そう言えば、今日は建国記念日でした。八紘一宇を広めるための会のようです。講師は靖国神社の方。

さて、講演のテーマは地方議会改革。このテーマでの話を聞くのは、もういいかな、と時々思うのですが、事務局長よりぜひ出席を、との連絡あり出かけました。講師は、元全国市議会議長会調査広報部長 加藤幸雄氏。日高市議会議長も参加している団体で、先日聞いたセミナーの講師、廣瀬氏の勤務先です。
議会の問題は、結局、議会全体の意志の問題に帰着します。議会全体で執行部に対し、チェック、対案、提案を行っていく、これがすべての議論の結論なわけで、この方向へのモチベーションが必要です。一方、市民生活や政策など諸々の問題に立ち向かう議員個々人のモチベーションも、職業として当然なことですが存在します。この2段階の、2層のモチベーションが働かないことには、いくら議論しても実質的な議会改革につながらないし、議会基本条例なんて遠い先の先です。
議会基本条例を定めても、モチベーションが働かない形式的な例も多いと聞くし、議会の住民向けパフォーマンスの場合もあると聞きます。対抗軸は住民の目、評価しかないが、これも言うは易く難しい。この辺の困難事情を改革に消極的な議員はよく心得ているようです。議会の温度差について各地の例を聞いたり読んだりすると、そう思います。
公開も小出しにしながらやっていけば、議会の動向に常に関心持っている住民はいる訳でもないし、問われたらやっていると言えるし影響はない、そうして任期を大過なく過ごし、任期を重ねればいい、ということになってしまいます。
今日の講師も、レジュメからすると結論は議会基本条例のようだが、もう建前はいいがな、と??を抱きながら話しを聞きました。
私が、講師の話でおもしろいな、と思ったことが2点あります。
まず第一は、レジュメの言葉を引くと「可否同数時の議長・委員長裁決」。
採決が可否同数の場合は、議長は否決しなければいけない、ということ。ご存じか? 講師は、聴衆が知らないことを予想してか何度も強調されていました。はい、私は知りませんでした。質問者がそんなことはないでしょうと食い下がっていましたが、力を込めて「否決」を繰り返しました。
帰宅してから調べてみました。野村稔、鵜沼信二著『地方議会実務講座』全3巻を見返しましたら、ありました。議長裁決の場合、「一般に現状維持の原則が働く(否決に裁決する)と言われるが……」とあります。しかし、参議院に可否同数の際、議長が可決と裁決した例が2例あり、それ以降、地方議会でも議長は政治的判断で可決、否決いずれに行使してもよい、ということになったらしい。
議会運営のグレーがかかったいい例です。講師によると、スウェーデンでは否決が明記されているとのこと。いずれにしろ明記した上で議長裁決を行使すべきらしい。
もう一つは、このことです。
予算・決算委員会と本会議の話になって、本会議の討論の時間が延びることの意見が質問者から出されました。その時、講師は怒ったように(そう感じました)、こう言ったのです。
議員は、年4回の本会議、実質100日前後の拘束で月々の報酬を貰い、しかもボーナスまで貰っている、本会議の時間が、しかも重要な討論時間が多少延びたからと言って文句が言えた筋合いではない、と。私も全く同感、ボーナスアップなど額に関わらず、とんでもない、です。