武雄市フェイスブック


 先日、朝日新聞に載った武雄市長のフェイスブックを使った政策を紹介しました。市のHP全部をフェイスブックに移したり、職員全員を登録させたりとアイディア豊富な市長自ら旗振りをして市政改革に取り組んでいる姿です。
 NHKは早速これを取り上げていました。テレビの企画者も次から次へと企画を練らなければならないので、てっとり早く取材できて社会的意義もあり、先端の面白みもある話題はすぐ飛びついてきます。
 武雄市民のフェイスブックを使った市への質問や注意喚起や報告等の実例を画面で紹介。それに対して職員個人名での回答や対応に市民が親近感や即応性という利点を感じるという設定です。そのシステムのメリットを市長自ら解説していました。
 テレビは、時流テーマについては問題点を発掘しないでいい面だけを伝える傾向があるので、よほど気を付けてみないと危ない。武雄市フェイスブックで市のHPへのアクセスが年数万件から数百万件に増えたと市長は自画自賛しています。そのデータを根拠に、多くの不特定多数に物産を販売する企画も立てたとのこと。
 一方、図書館をレンタルソフト店最大手「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託し、その際の貸し出しの個人情報の扱いについての発言が問題になったり、自治体で最も課題の多い病院経営の民間委譲が裁判で問題になったりと多方面での話題も多い。
 それにしても人口約5万1000人で平成22年度一般会計予算約210億円、地方交付税71億円。日高市は約5万7000人で一般会計157億円なので、予算で53億円も多いという財政です。行政も、合併特例があり、また市長のマニフェストもあるからでしょうがいろいろなことを積極的にやっている感じです。
 議員は何と26人もいる。ケーブルTVで一般質問の放映を行っているしUstreamの動画データでも見られる。市長と議員も丁々発止でやっているようです。
 市内外の関心を呼び起こして、20パーセントも人口減少する過疎地域の生き残りを図るために市長自ら広告塔になって派手に動いているのだと思います。議員も行政も市長の姿勢にけん引されて結果“吉”と出れば万々歳です。
 しかし、市税約49億円と日高市の市税約79億円に較べ30億も少ない。自主財源が少なく、交付税臨時財政対策債に頼る財政力の弱さ。盛んに公共事業を行ってきた結果、今後、公債費や繰り出し金が確実に増えるはずです。フェイスブックがそういう問題を解決することにつながるか。今後に期待というところです。
 日高市と比較しましたが、じゃあ日高市は財政が堅調でいい? 
 お日様に向かうヒマワリのような元気と夢を持てる事業があるわけではないし、市民の知恵と活力を引っ張り出すコーディネートは見られない、行革は進んでいない、当面の課題が市民からてっとり早くお金が取れるごみの有料化というのでは、それも寂しいことです。
 市税中心の堅い財政構造つまり市民が喜んで定住・移住する暮らしやすさを追求し、一方で不断の行財政改革でお金を捻出し新しい市民サービスや投資的経費に向けていく。見えてくるのは当然のことなのだが、その道筋はフェイスブックなのかあるいは徹底した情報公開と住民自治の足腰を鍛えることなのか。自治の革命だという武雄市長の自画自賛と12日に聞いた和光、松坂、千葉の3市長による市民自治強化の比較が頭に浮かびます。