遊休田んぼ


 
 昨年作らなかった田んぼ、いまこんな状態です。
 一面に冬草が被っていて、この中にレンゲが茂っています。驚いた。レンゲがこんなに増えているとは。何年か前からチラホラと姿を見せ、タネがこぼれて1年ごとに倍々の感じで増えてきました。レンゲは結構、環境に敏感なのではないか。巾着田で以前、レンゲのタネを播いたことがあったようだが、咲かなかったようです。
 伝聞のことですが、まず毎年イネを作っているたんぼで、代掻きの時期を花が咲いた以降にしていること、農薬を撒いていないこと、等のことがあるらしい。私がやっている田んぼで見ていると、それは事実その通りかな、と思います。農薬を撒いていないことは必須の条件のようです。周囲の田んぼでレンゲが出ているところはありません。
 それに草刈りをすることも必要です。アシ、ヨシが生えない、田んぼ特有の植生にしておくこと。それには年4、5回くらい草刈りをしておけばいい。耕起はやらなくてもいいし、畔から草が伸びてきたら必要に応じてやればいい。
 草のままにしておくと、草の根が張り地表面がしっかりと自然の固さが保たれます。そうすると湿田でも、トラクターアタッチメントの草刈りが可能で、耕運機クラスの自走草刈り機であれば何の問題もない。私のやっている田んぼは半分は湿田で、土が露出していれば私のおんぼろ最小トラクターでは、はまってしまいます。しかしいまの草の状態であればOKです。
 このようにして、少しだけ手を加えて管理しておけばいい。そうすると、私の田んぼを見て分かるように自然の草が青々と一面を覆い、動植物の生存を維持しそれを狙っての小動物が生息します。人間にとっても多面的な環境維持による恩恵を被ります。

 震災地で言われる「1年耕さなかったら田は荒れる」ことはあり得ません。自然を知らない人間のいうこと。かえって、微生物と小動物の生息で土壌は豊かになり、何年間遊ばそうと、その時その気になってコメを作れば大豊作間違いなしです。草を刈って必要に応じて時々耕運しておけば、いつでもコメは作れる。
 最近、女影で、それまで草ボーボーにしてあった田んぼをきれいにして、コメ作りを始めた人がいます。定年を2、3年後に控えて、ようやく本格的に土地を管理する余裕ができた地主さんです。
 私のことは、うわさでよく聞いていて知っていたとのこと。どんなことをやっているかも。要するに、農薬を使わない肥料を入れない、だけのことですから簡単。初陣の稲作を、これでやってみたら大豊作だったとご自身から聞きました。
 お互い、この経験があれば理解の土壌は無限です。話すことは瞬時に理解をもって伝わる。近くにこういう方が出現したことは心強い。この方も川を心配しています。

 時代の流れで田んぼの管理が行き届かないのは仕方がない。しかし何とか自分の財産管理の責任と、地域での共同での維持が出来なかったのか。耕作放棄地であったが故に、豊かな自然と素晴らしい景観がありました。少し手を加えれば、後世に残せるものがあった。実は、そう考える地元の人も多いと思う。
 自分の土地だからと言って、お上にまかせてしまうばどうなるか分かりません。彼らはそこにある予算と実績で動く。後に何が残るかは考えないし、公共財という考えも乏しい。その結果がいま起こりつつある川の汚染です。