里山・平地林再生事業


 
 武蔵台6丁目の森林伐採が始まりました。自治会で昨年より検討してきた案件が実際に着手されたことになります。大きな重機が入り、見ている間に伐採が進んでいきます。作業を行っているのは吾野の製材業者です。
 この近辺の森は下の住宅の日照の妨げとなり、以前から課題となっていました。今までいろいろないきさつがあり、難しい問題もありましたが、今回、実にタイミング良く県の事業とドッキングさせることができました。景観上、日照上、劇的な改善が成されるでしょう。
 山の際に住宅を作った場合、木の成長に伴って必ず日照の問題が起こります。この問題は、表沙汰にはならなくても、あちこちで起こっています。生活する側にとって、日照は水と同じように必需のもので、木が大きくなるに従って生活の快適さを阻害する最大のものになっていきます。
 日照は生活の権利だから木を切ってくれ、と言っても、すぐ切るということにはなりません。山際に家を作ったのは建てる側の勝手で作ったのだから、地主の側は「はい、そうですか」と切る必要はないのです。あくまでも、寄って来た方に責任がある、ということはよく言われています。
 こういう事情があるから、伐採はすんなりといかない背景があります。今回、以上の条件を前提に、いままでの事情を十分勘案しながら、自治会が地主さんと誠意をもって話し合い、近辺で進みつつあった県の森林事業にうまく載せたのが成功の要因です。
 地域の課題をすすめるのに当たって非常に参考になる事例であったと思います。いろいろな条件を一つ一つ確かめながら丁寧に進めることが必要だということです。話合いのいきさつが住民に分かるように、情報も公開しながら進めることももちろん大切で、今回はその点も配慮されたと思います。
 この山は、武蔵台の緑地としての区分になっています。そういう事情を背景に、今回の伐採を機に、自治会が一部の山林を取得しました。
 伐採の後の管理も課題になってきますが、手の入れ方によっては、素晴らしい里山にすることができます。維持・管理が難しく大変であることはその通りですが、武蔵台住民にとっては、新しい楽しみができたというくらいの気持ちでいたいものです。下草が適度に生えた気持ちよい里山にできたらいいなぁ、と思います。
 伐採の仕方は、間引きして切る間伐と全部立木を切ってしまう皆伐がありますが、どちらにするかは地主の選択です。今回は両方があると聞いていますが、伐採された木は原木市場で販売されます。その資金は広葉樹の苗木に充てられ、針葉樹からの樹種転換によって、将来は雑木林になります。



 つい2、3日前に、マミーマート前の伐採地でその樹種転換の植林が行われました。カエデやサクラ、クヌギなど5種の樹が植えられました。国道沿いが気持ちのいい景色になるでしょう。
 何年か前、ガソリンスタンド前から飯能の市街地に抜けるバイパス工事の擁壁の植栽を行っていた植木業者と話したことがあります。確か、名栗の方で山も沢山持っていると言っていました。擁壁のてっぺんの高台から宮沢湖方面の山を見ながら言った言葉。「ああいう、いろんな樹が混ざっている山が一番いいんだ」。
 6丁目上の山もそのような山に向けてこれから樹種転換が行われます。