ヒノキ丸太

 師匠のヤマでヒノキ丸太の皮むきをしました。私が京都に行っている間に20本程切り出しておいてくれました。これから始まる私の大工仕事の材料になります。
 我が家の南側和室の前の犬走りには軒先がない、これがすこぶる不便なのです。取ってきた野菜を調整したり、機械の整備をしたりするとき、雨が降っていたらお手上げです。そこで軒先を作ることにし、ついでにあちこちから要望のあった野菜の軒先販売ができる場所をつくろうということです。ヒノキ丸太は、その柱となる予定です。
 (犬走り:建物の周囲を取りまく、砂利やコンクリートを打った幅約50センチほどの部分。 雨水等による基礎部分の濡れや建物への跳ね返りを防ぐ「建築用語ネット」より)

 師匠のヤマは、手入れが行き届き、とても気持ちがいい。一面に下草で覆われています。ヒノキの一部は植林したそうですが、大半は自然の植生とのこと。戦後すぐこの辺のヤマは、アカマツと雑木が入り混じっていたという。それがアカマツ松くい虫の被害でなくなり、自然にこのような植生に変化してきました。
 このような変化は全国的なものではないかと思います。私が子どもの頃遊んだ平地林もアカマツ主体の明るい雑木林でした。その中に、赤いやまつつじがたくさん咲き(花が咲くとき葉がない種類で何というのか?)、きんらん、ギンランが美しい群落を作っていました。
 初夏の陽光に輝くあの自然の共生が、私と同世代の共通の自然体験ではなかったか。里山の復活が言われますが、下草を刈り落ち葉を全部掃いてしまうのとはまた違った観点があると思います。
 そういえば、私が管理しているヤマで、下草を刈っているうちにギンランが毎年増えてきました。キンランが出てこないか期待しているのですが。昔は、それこそ、どこのヤマにもあったのですが、絶滅だろうか。 

 丸太の皮むきは初体験の作業です。やってみると手数が多い作業で根気が要ります。

 夕日が斜めに差し込んできました。

 つい最近までホームセンターに皮むき専用の道具が置いてありましたが、売れないせいか今はありません。専用の刃物を使うまでもないので、鎌を使います。
 師匠の鎌を使うと、スルスルと一気にむけていきます。私も同じような肉厚の重い鎌を買ってきました。持っている刃物の中で一番高いものになった。ところが切れすぎて刃が幹に食い込んでうまくいかない。まだら状態はそのためです。
 使い込んだ比較的切れる古い鎌でやってみると、これがカンナのようによくむけるのです。確かに、刃物は使いようです。
 

左が新しく買った雑木枝専用鎌。右が使い込んだ中くらいの厚みの草刈り鎌。下の白い丸太が古い鎌で皮をむいた。