見えてこない日高市総合計画策定(4)

 市のHPに総合計画の進捗が出てこないか、と思いながら他の所を見ていたら、何とありました。「審議会等の会議の記録」の「最近開催した会議の会議結果」の中の「第1回 日高市政経営審議会会議録(平成21年5月19日)」の中に、議題の3として「第5次日高市総合計画について」というのを見つけました(http://www.city.hidaka.lg.jp/com/koukai/shingikaikoukai/2009/43_kaigi/kekka_tmp_6.html)。そして「総合計画素案」という6ページの文書が添付されていました。
 行政経営審議会で5月に発表されているとは知りませんでした。HPをもっとよく見ればよかったのですが、しかし肝心の「総合計画」のところでなぜ発表されていないのか疑問です。リンクが張ってあればわかるのですが。ともかくありました。
 「第5次日高市総合計画基本構想について 企画財政部企画課」。これが資料タイトルです。そして、以下のように、基本構想としてほぼ、まとまっている内容でした。添付の資料として「第5次日高市総合計画における基本理念及び将来都市像について(案)」がありました。


 「基本構想
第1章 日高市の将来都市像
1.新しいまちづくりの基本理念
「総合計画策定に当たって」で取りまとめた「まちづくりの重点方向」や市民ニーズ等を総合的に勘案し、新しいまちづくりの基本理念を次のとおり設定します。
■基本理念1
 緑いっぱい ここにしかない ふるさと自慢のまちづくり
 日和田山巾着田高麗川の清流に代表される豊かな自然を大切にし、すべての人が自然と共生するまちづくりを進めます。また、高麗郡建郡1300 年に当たり、日高の歴史や文化を生かしたまちづくりを進めます。
■基本理念2
 笑顔いっぱい みんな生き生き 思いやりのまちづくり
 地域コミュニティを核としたふれあい・助けあいにより、すべての人が健やかに暮らせるまちづくりを進めます。また、教育・医療機関などと連携し、心も身体も健康で生きがいの持てる生涯学習のまちづくりを進めます。
■基本理念3
 元気いっぱい 人と企業の集う 活力あるまちづくり
 すべての人が暮らしやすい安心安全のまちづくりを進めます。また、首都近郊にあり交通アクセスに恵まれた地域特性を生かし、観光に結びつく産業や工業・物流の拠点としてにぎわいのあるまちづくりを進めます。
第2章 施策の大綱
 前章で定めた「まちづくりの基本目標」の達成を図るため、5つの基本目標ごとに、今後、展開すべき施策の方向を次のとおり定めます。
 1.自然を守り歴史を伝える 憩いのまち
 2.健やかで優しさあふれる ふれあいのまち
 3.心豊かな人をはぐくむ 学びのまち
 4.快適に暮らせる 安心安全のまち
 5.地の利を生かす にぎわいのまち

 添付された「第5次日高市総合計画における基本理念及び将来像について」の中で、「新しいまちづくりに向けて活用すべき日高市の特性・地域資源」と「現行計画のふりかえり調書から見た〔残された課題〕」という括りがあります。
 この括りは、市民懇談会開催時に市民の意見としては聞かれなかったO:opportunity(機会)とT:threat(脅威)ではないかとみられます。「ふりかえり調書」というのは余り聞かない言葉ですが、市の将来にとって不安や脅威となる要素、反省すべき点、という風に理解すれば、「T:threat(脅威)」です。
 そして、新しいまちづくりを策定する手法・考え方として、次の各要素が挙げられています。
・新たな総合計画の潮流(持続可能なまち・民間的経営手法)
・時代の潮流(地方分権少子化、高齢化、地球環境問題、安心安全)
・新たな総合計画策定に向けた4つの視点
・市民懇談会からみる市民ニーズ
・市長の意向(インタビュー)
 以上のように、基本構想素案と、それを作成する手法・理念・将来都市像が案として提出されていることから、ほぼ全体の骨格が固まっていると見ていいと思います。
 私見ですが、基本となるOとTに偏りがあり、やはり庁内の知恵を主体として策定するという仕組みの欠陥が現われているような感がします。また、策定の手法・考え方も議論すべき問題点があります。
 ここまで固まっているなら、なおさら市民に発表すべきだと思うのですが、HPの該当する「総合計画」にも未だに未掲載で、広報にも発表がありません。市長、教育長などが出席する審議会で「説明を行った」とありますが、市長からも市民に公表すべき、公表したのか、という指示・確認は無かったとみられます。
 予定より大幅に遅れていますが、アンケートと市民会議が今後予定されています。市民会議は各分野での市民の具体的な協力関係を議論するもので、完成された計画の中での担い手として位置づけです。
 またアンケートは基本材料として初動調査として戦略目標の決定に貢献するのではないかと思っていましたが、どういう進捗になるか見ていきたいと思います。
 いずれにしても、情報開示と説明を行いながら、市民参加で市民とともに作り上げていくという熱意と姿勢が見えてきません。市の予算編成と公的サービスの優先度・選別となる根幹の事業であれば、市民的議論を巻き起こし建設的議論の主導を果たすべきだと思うのです。