野育ちトマトのおいしさ


 このトマトは山際の畑に自然に生えて成長したトマトです。自然発生3年目。熟した実が落ちて、毎年、同じ場所に生えます。連作も何も関係なし。何という種類であるのか分かりません。左の方に枝分かれした複数の幹が倒れています。
 このトマトのおいしいこと! 薄い皮の中にぎっしりと重く詰まった実は、甘さと酸味のバランスもよく、よくぞこんなおいしいトマトができたものだと感心します。
 私の畑には、いろいろなトマトが自然発生します。いろいろ食べ比べて最もおいしいことが判明、3年目の自然発生で「横山トマト」の誕生です。買ったタネはほとんど外国産ですが、この「横山トマト」は高麗の気候と土地をしっかりと覚え込んだ、たくましいトマトのはずです。
 手は一切掛けません。肥料もやらず、芽かきの整枝もやりません。野生の伸び放題のままです。それでも、トマトはチャンと成ります。今年このトマトのタネを採取して、来年から本格的に栽培するつもりです。
 自家採取のタネを天恵緑汁に浸けて自然の精気に触れさせ、肥料に頼らないでもしっかり成長できる準備をしてやります。そして不耕起、無肥料、無整枝で栽培。人間の欲に左右されない自力100パーセントの、おいしいトマトがたくさん成ることを想像すると今から楽しみです。
 教科書を見ると、トマトの栽培法としては、芽かきをして6〜7段くらいまで収穫する、というのが決まりでこれ以外の方法は書いてありません。特殊な栽培法としては、「永田農法」と称する、過酷な環境を人為的に作って南米自生地での記憶と適性を蘇らせる、という方法もありますが、素人がやってできるものではないと思います。
 芽かきをすることに以前から疑問を持っていました。トマトは他の作物に較べ、一段と旺盛な成長力を持っています。自然のままにしておけば幹も何本にも分かれ、わき芽もどんどん発生します。これだけの成長力を阻害してまでなぜ芽かきをして一本に仕立てなければいけないのか。
 商売用に農家が大玉で採るのを真似する必要はないと思います。無肥料で自由奔放に伸ばしてやれば、木が長持ちし秋まで元気に実を付けるはずです。
 作物が本来的の持っている自然の成長力を尊重する栽培からは、教科書には出ていない自然のおもしろさが実感できます。