協働の落とし穴

ここ2、3年、公的なバックグラウンドのもとに行われる、いろいろなボランティアの会議に出席してきました。いわゆる「市民会議」や「委員会」などで、現在は、社会福祉協議会の「福祉のまちづくりを進める会」と「みんなの広場企画運営委員会」に名を連ねています。
 そういう場に出て感じることがあります。遠慮と沈黙が支配するか、あるいは意見の発露があっても、今度はそれをまとめあげていく知恵が不足しているため、必ずしも意義ある成果に結びつかないことがあるように感じられます。
 形式的な会議の仕切りではなく、自由な討議と合意に至らせる知恵と技術は、私たちにとってますます必要になってくると思われます。
 ボランティアだけではありません。行政の側もこの能力の育成と訓練が不足しているケースも多く、双方のミスマッチが重なって、成すべきものも成されず、形式的、お座なりの結果をもって良しとすることも多いのではないでしょうか。
 「協働」の普及・浸透はいいことですが、今まで書いたような内実が伴わない限り、市民の欲求不満の重なりと市民参加の形式化、形骸化、アリバイ化を招くことにならないか心配です。さらに「協働」すらも将来は、この間隙を縫って利権化する可能性もあります。
 多様な意見の集まりとしての市民と行政の関係は、高尚な議論よりも、こういう面に現実的課題があると思います。

 さて、社会福祉協議会がバックアップする「みんなの広場企画運営委員会」がありました。
 例年11月の第2土・日曜日に、ひだかアリーナで日高市民まつりが開催されます。催しは、室内が各団体の出展ブース、室外はの商工業者による展示即売コーナーです。
 昨年から、社会福祉協議会を窓口にして、ボランティア団体のグループがブースを出しました。「みんなの広場」と言います。毎年、参加することになり、その内容や方法について話し合うのが、有志による企画委員会です。
 ボランティア団体の出展は単純・明快。同じ規格・条件の下で(平等な条件の下で)、活動を紹介することです。したがって、展示企画と構成に関しては特に問題はありません。
 重要なことは、出展されたコンテンツをいかに利用し、2日限りで消えるイベントの内容と成果をいかに日常化していくかです。情報をアナログとデジタル両面から利用し、広報させるのにこれほど格好の事例はありません。 その趣旨から、考えかたと具体的方法を提出しました。ここに揚げるのはその一部です。    
 
 【考え方】
○当日、1ブースに各グループ用意の展示物を掲示することについては、配置と飾り付けの工夫のみで、現行の広さであれば、それほど大きな問題はない。
○重要なのは、「みんなの広場」のブースは1日で消えるが、広場自体はネット上やその他の形で残り、ボランティア活動の啓発と基盤整備に常時意識されること。
○そのために、
(1)当日の物理的制約を補う工夫は何か(当日の現場・広報対策)→規格展示を補う自由チラシの合本の配布
(2)周年での広報によって認知を図る(周年対策)→出典コンテンツを利用する簡単なポータルの構築
○この両者が有機的に連携することで、効果アップと目的の達成に近づける。