デマゴーグとアドバルーン

 6月30日に書いた記事「満水の田に笑みも浮かぶが忍び寄る恐怖」(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20090630/p1)で、芽が出始めた雑草をヒエとしましたが、これは間違いでした。例年、この時期にまずヒエが出てくるので思いこんでしまいましたが、ヒエと並ぶ水田雑草の大将であるコナギでした。
 そうすると、いまごっそり出てきているのは全部コナギで、ヒエは全く見当たりません。昨年まであれほど猛威を振るったのにどこへ行ったのか。同じ田んぼでも、条件の変化で変わることはよくあることらしい。今年は水があったことがまず第一であることは確かですが、しろかきなのか、こめぬかを散布したことなのか、理由はわかりません。

 ヒエでなくてコナギでも厄介さは同じ、水の中でどんどん増殖していきます。このところ、この増殖に先手を打つべく田車を押すのがもっぱらの作業です。こんなものを使っているのは日高では私くらいのものでしょう。師匠は今時こんなものを売っているのかと、びっくりしていました。
 除草剤が出現するまではこれが草取りの日常的道具でした。二連の櫛刃が回って雑草の芽や根を切り、泥の中に埋めていきます。条間(列の間)はこれでいいのですが、苗と苗の間は手でかき回すしかありません。

 田車を押していたら、ゴトンと石に乗り上げた感触です。はて、おかしいな、こんな所に大きい石があるなんて。足で踏んだ瞬間激しい痛み。カメでした。咬まれたか、引っ掻かれたらしい。2枚目の田んぼでもゴトン。こいつは田車でひっくりかえし外に出しました。この時期、田んぼによくいるイシガメでした。

 さて、総選挙と自民党のテンヤワンヤのニュースがあふれていますが、例のお二人はどうなったのか。宮崎県知事と大阪府知事です。東国原氏の自民党からの立候補取引は、あるテレビの調査によると、81%が反対しているという。
 橋本氏は、大阪府自治体への政党支持明確化の表明では全く支持を得られませんでしたが、全国知事会では、あきらめず政党支持を提案しました。これに対しはやはり反対され、各党マニフェストでの地方分権推進度をチェックし点数化するということに落ち着きました。二つの身分を持つ自治体の長の組織としては当然の結果です。(“特別公務員かつ政治家”として首長 http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20090704/p1
 東国原氏はワンマンショーをやったが意外な不入りでした。橋本氏は主張を掲げながら、府下自治体への打診や各政党への訪問による理解を求めるなど、それなりの段取りを踏んだ感じです。しかしいずれにしても、二人ともメディアを利用しながら政治家としての主張を訴える点では、大衆扇動は身に付いた戦略であるはずです。
 面白いことに、デマゴーグ(大衆扇動)そのものである東国原氏がそれを危惧し、メディアを批判していることです。
「メディアの報道で、手段がいつのまにか、自己目的化して、一人歩きしているというか、暴走しているような気がする」「マックス・ウエバーの言うデマゴーグは、現代においてメディア自体だと僕は思っている。最も重要な問題は、そのデマゴーグ(大衆煽動)に対して、彼らが果たして責任を負えるか?ということだ」(いずれも氏のブログ)
 デマゴーグはメディアが群がる霞が関や国レベルにはありますが、地域においてはありません。ない代わりに、アドバルーンとルーマー(うわさ)があります。地域におけるメディアの不在による情報欠如は、アドバルーンを上げる(上げることができる)立場の側の一方的宣伝になることが多い。地方分権の良さばかりがいわれますが、地方に降りてくる金と権力の使い方を監視する仕組みがなければ、いま指摘されている無駄遣いや利権の構造が温存されて下がってくるだけです。
 日高市で、さいきん注目すべきアドバールーンがあがりました。次回書きます。