「天覧山・多峯主山の自然を守る会」と「天覧山付近の自然を守る会」―30年前の本から

 4月2日の文化新聞に「天覧山多峯主山の自然を守る会 さいたま環境賞受賞」という記事がありました。おやっと思いました。あのことかな、と思いました。
 同会は、飯能市の天嵐山・多峯主山の自然保護や里山保全を目的に活動しているNPO法人です。さいたま環境賞は、埼玉県が環境保全のために模範的な取組みを実施している個人、団体、事業者を表彰する制度で今回が第10回目です。
 記事によると、天覧山多峯主山の自然を守る会は、二つの山の周辺で進む住宅開発の見直しを求める住民運動として平成7年結成。環境保全条例の直接請求、自然観察会、環境調査などを10年間継続しました。開発計画は平成17年中止となりましたが、活動は継続され、平成19年、市が事務局のはんのう市民環境会議と協力して天覧山谷津里づくりプロジェクトを開始、さまざまな環境保護活動を行っています。賞に値する立派な活動だと思いました。
 記事を読んで、一つ引っ掛かったのは、「平成7年結成」という所でした。それほど古いことではないんだな、という印象でした。「おやっと思い、あのことかなと思った」のは、ある本のことが頭に浮かんだからです。
 新聞を置いてすぐ2階に行き、本棚の所定の所にある本を確かめに行きました。「所定の」というのは、その本の場合、すぐ目に着く位置にいつも置いてあるということで、探す必要はありませんでした。この本です。

『緑のまちと市民たち―市民が守った飯能の自然―』天覧山付近の自然を守る会編著
 帯に「日本野鳥の会創始者中西悟堂氏の言葉。「首都圏のまちの分岐点 郷土飯能のシンボル天覧山多峯主山を市民不在の開発から転換させよ。この一帯の生態系のかなめである蛍の里の純潔と共に」
 奥付を見ました。何と今から30年前、1980年、昭和55年です。やはり平成ではありませんでした。気になった結成の年が平成であるということは、この本の出版年のことがあったからです。
 私は、さいたま環境賞の受賞者である「天覧山多峯主山の自然を守る会」がこの本の著者である「天覧山付近の自然を守る会」のことだと思いました。巻末にある会の年表を見ると、結成は昭和52年です。明らかに別の組織です。しかし同じ流れを汲む集まりなのかもしれません。それは、「天覧山多峯主山の自然を守る会」の代表者に聞いてみようと思います。
 さて『緑のまちと市民たち―市民が守った飯能の自然―』のことです。この本を買った時のことは覚えています。確か新聞の書評で見てすぐ買いました。30年前、武蔵台に越してきて2、3年の頃です。近くで行われているスケールの大きい環境保護運動に関心を持ちました。都心に通い仕事は毎日夜遅くまででしたが、休日には周辺の山野を歩き回り、土地への関心は深まりつつありました。
 本を取り出したついでにパラパラと斜め読み。面白い! 三十数年の年を経て読むと、また読むポイントも変わります。二つの会の関係がありやなしや、と読後感はいずれ。