四市議員合同研修会

本日午後3時から坂戸グランドホテルで四市議員合同研修会が行われました。四市とは日高市坂戸市鶴ヶ島市東松山市です。一部事務組合や広域消防のような西の方の広がりではなく、北の方の市が対象です。
毎年、各市の議会と事務局が世話役でこの時期に行われ、講演会のあとに懇親会が開かれます。坂戸グランドホテルはビジネスホテルですが、こんな住宅街にという場所にありました。坂戸には駅近くにもう一つビジネスホテルがあります。
演題は、「地方議会の現状と今後の運営について」
講師は、全国市議会議長会 調査広報部主幹 植田義隆氏
植田氏は、横浜市の部長職の職員で兼職とのこと。横浜市という巨大市の忙しい部長でよくまぁ兼務を、と驚きました。講演は、20ページのレジュメに従って行われました。目次がなかったので下に書き出してみます。講演内容の全貌が分かると思います。
目次で内容が分かると思いますが、議会が現在直面している問題が、全部網羅されています。この目次の中に簡単な説明と図表が配置されています。正に、「簡にして要」とはこのこと。単語と短いフレーズと簡単な図表で、問題点が摘出され全体像が自ずと分かります。さすが、忙しい職を兼務されている方のレジュメ、見習いたい簡潔化です。
各項目については、膨大な議論が成されており、中に入っていくと問題の核心を失ってしまうこともあります。最も実情に通じた人が、このようにポイントのみに絞って解説してくれると、全体の見取り図の中での位置付けや相互関係等がよく分かります。そういう意味で、実に有意義な講演でした。講師は、よく事務局職員の研修に関わる立場なので、そういう立場での見方が入るかもしれないと言われていましたが、勉強する人間にとっては、まずこの網羅性・全体性が大切です。
しかし、いくらこのような講演を聞いても、改革へのモチベーションが働かないことにはどうしようもありません。本当は、ここのところが最も重要で「議員を住民はどう見ているか」ということに繋がります。議会改革委員会での発言からは、そもそも、改革など必要ない、現状でOKなのだというところが本音で、世間が騒ぐし他もやっているから仕方が無い、という雰囲気を感じます。
講師が自分の見解だが、とした発言で、なるほど、同感、と思ったいくつかのことを書いてみます。


第一に、冒頭の地方議会に関する法体系。この説明には図がありました。

この図は地方議会を規定する法律の体系がわかり、議員がどこの部分に関わっていくべきかが分かります。当然のことながら、議論すべき対象は全部なのですが、日高市議会の議会改革委員会の議論は赤の線で囲った部分が大部分です。グリーンの部分が議会・議員の役割や責任が法的に規定されている部分で、このグリーンの中の議論をすることが必用です。しかし、議論の中身はもっぱら「申し合わせ・確認事項」すなわち法律に規定のない「先例」(日高市議会の以前から積み重ねられている議員行動等に関わる規定集)に関わることです。「二元代表制」に関わること及びこれにリンクする議会基本条例等の自らの改革部分(グリーンの中)に関する核心議論は、私の考えでは、ほとんどありませんでした。赤の矢印は、私が加えたものですが、議論は左方向に向かうことなく赤枠に止まっている、ことの意味です。議会改革を問題とする実務家や学者は異口同音に、この申し合わせと先例から脱し、グリーンに向かうべきとしています。
第二に、議会の議事機関としての役割である「監視機能」と並ぶ政策の展開が不足していること。
問題等の発見・提起⇒調査・分析⇒企画・立案⇒審議・決定⇒執行・実施⇒点検・評価⇒見直し・対応(レジュメより)
これには全く同感。常に不足感を感じています。なぜそうなるのか。制度的な問題もあります。市長は執行部局の職員数百人での政策展開を行っており、講師の在職する横浜市でも事務局は50人以上でサポートを行っているとのこと。現状では十分なサポートは体制的に望むべくはなく、議員の個人事業主としての細々とした営為とならざるを得ない。無い物ねだりを言っても仕方がないので自分で努力するしかない。本来、政務活動費もそのためのものであるが貢献していない。議員は一般的に、イベントや催し物に出て顔と名前を広げることに励むという傾向になってしまいます。
第三に、議会の意志決定が平場つまり住民一般の立場で分からないこと。
これにも全く同感。このところが一番問題だと、私は思います。分かるようにするには、一般的には、先に掲載した図の中で赤枠を脱し、グリーンに向かいつつ、会議での議論を充実させ、その経過を全て公開することが必用です。実際には、「根回しと内向きの論理」(講師)が幅を効かしている。
学者とは違う実務家としての、多くの示唆ある発言がありました。講師の言われる方向に行くには、なんと言ってもモチベーションが働かないことにはどうしようもない。どこの議会にも言えることであろうが、選挙制度を通じて人材の新陳代謝を促進し、内部的には、議会全体の意志として転換していくことを働き掛けることしかない、と思いました。

○地方議会の機能・位置付け
○地方議会に関する法体系
○議会の権限と執行機関等との関係
○議会を取り巻く動き
地方分権の推進に伴う議会制度改革
○議会制度改革の類型
○議会改革の推進
1 通年会期制を採用している市
2 定例会の平均会期日数・平均会議日数
3 議会基本条例の制定状況
4 住民への情報発信
(1)インターネット上で議会中継などを発信している市
(2)議会報告会の開催状況
5 住民からの意見聴取
(1)インターネット上で議会に関する意見を聴取している市
(2)インターネット上で議会に関するアンケートを掲載している市
6 地方自治法第96条第2項の規定による議決事件の追加状況
7 市長提出議案に対する議会の審議
8 議会からの議案提出
9 議員間討議
10 執行部の反問権の規定状況
11 公聴会参考人招致、秘密会の事例
12 協議または調整を行うための場の数
13 専門的知見
14 議長の選出・任期
15 本会議場・委員会室での議員のパソコン・タブレット・説明用スクリーン等の使用許可状況
○議会を住民はどう見ているか。
○議員を住民はどう見ているか。
○先進的取り組み事例
○広報・広聴機能の充実・強化等
大分市議会における政策条例づくり
伊賀市議会議会報告会
○議会運営の今後の視点
○国等の動き
○地方制度調査会における重点項目
○全国市議長会における取組