春日部市議会政務活動費3倍増の記事を読んで

12月26日に春日部市議会の政務活動費の3倍増加の記事が掲載されていました。下記がその内容です。大幅な増額なので、関心を持ってその軌跡を追ってみました。
まず朝日新聞の記事を読んで、何か突っ込み不足と経過の解説不足を感じたのでチェック。そうしたら、デジタル版には、2倍弱の記事量がありました。つまりカットされていたわけです(太字部分)が、私の目からすると、むしろカットされたところが重要です。
紙面の制約から、記者が必用だと思って書いた記事も編集上の都合で削除されてしまうのは問題です。地方議会の場合、単なる事実の報道では、ほとんど議会制度の役割と本質に迫る記事は書けません。政務活動費に関わることは、全地方議会に共通のことで、背景のプロセスにこそ真実があるので、事実の報道とは別の角度からの分析なり解説の記事が必用だと思います。こういう記事にも新聞の報道のあり方の一面が如実に表れています。


朝日新聞デジタル版>
春日部市議会の政務活動費(議員一人あたり月額1万6500円)について、市特別職報酬等審議会(山粼哲男会長)は25日までに、「来年4月1日から5万円に増額するのが適当」と石川良三市長に答申した。市議会が「ほかの市よりも低額」と指摘していた。早ければ来年3月議会にも条例改正案が提案される見通し。
同審議会は各種団体や公募の委員ら10人で構成し、市長の諮問を受けて10〜12月に3回審議。「議員活動の充実のためには引き上げは適当」と結論づけ、「今後も積極的に使途内容を公表すべき」とした。市長ら特別職の給料と市議の報酬は据え置く、とした。
 政務活動費について、市議会は先行して議会改革検討特別委員会で審議。昨年11月にまとめた報告書で、県内の人口20万人以上の市の平均が月額約5万4000円だとして、春日部が最も低額だと指摘した。いったん増額を見合わせていたが、今春の市議会改選後に協議を再開。賛成多数で「5万円が適当」と結論づけた。
 市議会側は「市民感情を考慮すれば増額のタイミングではない、という意見もあったが、活動の範囲を広げて有効に使わせていただきたい」(山崎進・同特別委員長)と理解を求める。一方で、使い道の透明性をさらに高める議論はこれからだ。春日部市議会はHPで会派別に支出総額や項目ごとの小計を公表している。領収書自体は情報公開請求があった場合にのみ開示している。
 埼玉市オンブズマン・ネットワークの中村勉事務局長は「これほど大幅な増額は近年例がない。領収書もHPで報告するなど説明責任に一層努めなければ市民の理解は得られないのではないか」と指摘した。
(春山陽一、池田拓哉)

一方、埼玉新聞。こちらも事実の報道だが、審議会の答申を見ての記事であることが分かる(太字部分)。
埼玉新聞デジタル版>
春日部市特別職報酬等審議会(山粼哲男会長)は26日までに、来年4月1日より、市議の政務活動費の月額1万6500を5万円に増額することや、特別職の給料と市議の報酬を据え置くことを盛り込んだ答申書を石川良三市長に提出した。3月の定例市議会に条例改正案を提出する見通し。
 市議会事務局によると、県内で人口15万人以上の11市(春日部市を含む)の政務活動費支給額は平均で月額5万7106円、特例市のある関東圏(神奈川、埼玉、群馬、茨城の4県)の15市は同6万267円。春日部市は県内、関東圏のいずれにおいても最低の支給額だった。
 春日部市議は、市政報告の発行やアンケート実施の印刷代や郵送代、有識者らの講演会に参加する研修費などで不足分を自費で賄っているという。これらの活動費を政務活動費と位置付けた上で、答申書では「市民の関心が高いため、透明性や公平性に十分な配慮が必要。議員活動のさらなる充実のためには、引き上げは適当である」としている。(引用ここまで)



春日部市議会は2014年4月に改選があり、改選前の議会で、政務活動費についての委員会検討結果を報告しています。その時は、増額無し、で改選後の市議会に増額の件を委ねる、としています。
改選後の議会改革委員会で賛成多数で増額決定。この際の委員会報告書はネットには出ていません。
埼玉新聞で触れられている平成26年度報酬審議会の答申もまだ掲載されていません。

なお、日高市議会は月額1万円、年12万円です。私自身は、政務活動費の制度自体に根本的疑問を抱いているので、毎年、全額を返上してきました。