棚引く雲

朝7時前後だったか、階段から、早く来て、という妻の声。
昇っていくと、窓の外を指差し、見て、見て、という。
和田山中腹に、というより中腹よりももっと下の方に、霞のような長い雲がかかっている。孫悟空の金斗雲のようです。高麗川の上に棚引き、上流の方まで続いている。上流方面から流れている感じです。下の方を見ると、巾着田まで続いているようです。

すぐあることを思い出しました。巾着田の自然に詳しく絵や写真の作品にその素晴らしさを記録しているK氏の文章です。
平成17年から18年にかけて、巾着田に関するいろいろな資料や本を読んでいました。巾着田を活動フィールドにしていたボランティア団体ソクラテスの会の15周年記念事業としての冊子の原稿を書くためです。その企画は、『提言 市民の財産 巾着田を考える』という冊子となり、各方面に配布されました。現在、図書館に収蔵されています。
図書館に行ったとき、たまに手に取るのですが、表紙がボロボロになっていたことがあり、更新したことがありました。

この原稿を書く過程で、K氏の『巾着田現場からの提言』という文集をよく読みました。何しろ、巾着田の前に住み、微に入り細をうがつ観察文章は、ピンポイントの地域をこれでもかというくらい掘り下げたすごい記録でした。
この文集の中に「巾着田の地霧」という文章が、確かあったことを思い出したのです。写真や水彩画の作品にも表現されていたと思います。
そこで調べました。文章の所在を。K氏の文集は、私が取材に訪れた際にバックナンバーをいただき、保存してありました。