地方分権もういい加減にしたら?

 研修の趣旨に沿って言えば、今回も前回の研修と同じ感想を持ちました。
 ○分権、分権といっても議会は到底追いついていけないよ。
 ○自治体財政の健全化と言って財務書類の整備やっても議会も市民もわからんよ。
 「分権の前にやることがある」。どこかで聞いたことがある感じです。分権と同時に、と言った方が正確かもしれません。議員の教育、議会の改革です。
 「貸借対照表という前にやることがある」。これは小西教授のお考えと同じ。教授の受け売りではない、などと言うとおこがましいが、以前から思っていました。単年度現金主義会計も理解できていないのに、財務書類の精密化をやってどうすんの、ということだが、自分自身の不勉強を棚に上げての八つ当たり感もあります。それよりも、「款・項・目・節」の面倒くさいベールを被せた予算、決算書の書き方を改善してくれた方がどれだけ世のため人のためになるか、とこれも八つ当たり的だが、普通の常識での素朴な感想です。
 時澤行政課長の講義資料に「義務枠付けを見直すべきとされた1316条項に対し、975条の見直しを実施(実施率74%)」とあったが、こんな達成率を自慢しても現実はほとんど機能していないと思います。首長部局は何とか対応するだろうが、同じ資料にある言葉「形骸化が指摘される議会の監視機能の見直し」。こちらの方が深刻です。総務省はよくよく考えた方がいいと思うのです。議会、議員の改革、品質向上への対策は、市町村予算の個別事情と議員の個別意志の範囲の問題でしかなくなっています。先行する制度改革と現状とのギャップが大きいのではないかと感じます。
 研修後のアンケートにも書いておきました。議会能力の向上のための教育システム構築と支援、例えば共通基礎テキストの編纂やe‐ラーニング等の実現です。こういう環境を同時に作っていかなければ底上げにならないのではないかと、改めて思いました。
 平成5年の衆参両院の「地方分権の推進に関する決議」から今年で20年経ちました。節目ということで、総務省や学者や自治体関係者がいろいろと総括の議論を行っているようですが、私のような視点はあるのかどうか。
 内閣府は、9月に発表した総括で「地方分権改革は、地方公共団体にける実践の段階に入り、一定の成果が表れている」とし、優良事例を収集し地方の現場におけるPRを行っていくという。「総括と展望のための取組」を今年度から来年度にかけて進めるようだが、地方議会の実態が明らかになればと思います。