地方の議員諸氏

 研修最終日。小西教授の続きの講義の後、グループに分かれて討論。ここで、一番持ち帰りたいテーマを確認する。
 ところで昨日の講義の後半に、市場公募地方債発行について熊本市副市長の講義が中間にあって、小西教授との意見交換がありました。副市長は牧慎太郎氏で総務省からの出向です。牧氏の自己紹介によると、転勤11回、うち自治体、自治体といっても政令指定都市とか都道府県なのだが、が熊本市で6回目だという。牧氏の話し、九州地政学の中での熊本市の位置づけは、都市間競争の実態を語って興味深いものでした。
 市場公募債は、地方公共団体が債券を発行し、不特定多数の投資家から資金を調達する方法です。国の公的資金も減少するばかりなので、税収のある地方公共団体公的資金に頼らないで自分で資金調達する必要が出てきました。1回の発行規模が100億円以上で、都道府県か政令指定都市が対象なので、日高市のような小規模市はほとんど関係ないと言っても良い。しかし、地域限定・小規模な住民参加型の市場公募地方債の手法もあるので、その発行精神は学ばなければならないと思う。
 なぜ市場公募債を発行するのか。今まで大部分を公的資金に頼っていたのを自前の資金調達が可能になること、また民間金融機関との相対取引による高い金利を下げられるためです。発行するためには、財政を健全化し、債券を持っていて安全なことをアピールしなければならない。地方公共団体にとって市場という別の角度から財政健全化の方向が組み込まれるというメリットがあります。
 さて日高市の地方債の現状はというと、平成23年度の総務省改訂方式の日高市財務書類によるとこうなります。
○地方債残高の総計……普通会計:約118億7900万円、下水道事業会計:約79億円
 内訳は、こうなります。
○普通会計………………政府資金:約88億2000万円、地方公共団体金融機構:約14億4900万円、市中銀行:約5億9000万円、その他金融機関:約5億3000万円
○下水道事業会計………政府資金:約55億円、地方公共団体金融機構:約5億8600万円、市中銀行:約3億4000万円、その他金融機関:約14億7000万円
 市中銀行とその他金融機関で、合計約29億3000万円。金利3.5%以上が約17億円ある。これらのことから今後の日高市借入れの方針が見えてくると思う。牧氏は、市町村にも全く安全な資金運用の手法はあり、積極的にやるべきだ、と言ったのが印象的でした。
   
 いくつかの講義で2、3回質問し、ワークショップのまとめでの発言をしたせいか、全国各地から来ている議員から声を掛けられました。食事は一人で牛のようにモグモグ反芻しながらゆっくり食べるのを好むので、昼休みも自分からは声をかけませんが、何人かの方と話しました。
(「」内は各地議員の言葉。―は私の言葉)

「何期やってますのん?」と関西の某市の議員氏。
―いや、まだ1期で2年半です。
「ほんまか、よう勉強されてますねん」
―その前に、合併やらで市民活動で勉強せざるを得なかったもんで。
「財政はよう分からん」
―おっしゃる通りですよ。勉強してもここにくると無知を思い知らされます。むずかしすぎて。

「先生、何期ですか」と西の方の某町の議員氏。
―まだ1期で2年半です。
「へーそうですか、もう何期もやっているような感じですね」
―お宅は?
「3期、3(4?)代だ。(ひいじさん?)、じいさん、おやじ」
―すごいですね。それだけ信頼されているわけですね。
「信頼ちゅうか、なんちゅうか、……」
―当然、古くからの地元でしょう?
「そう」
―いいポジションですよ。私ら外様よりお宅みたいな名門が勉強されてもの言うと皆聴きますよ。

「何期やってますのん?」と別の関西某市議員。
―ベテランのようですが何期おやりに?
「7期」(少し恥ずかしそうに)
―いやぁー、すごいですね。それだけ有権者の信頼厚くていらっしゃる。
「信頼ちゅうか、やれ言われてやってるだけですわ」
―失礼ですがお年は?
「ななじゅう○歳」
―見えませんね。お元気そうで。
「もうこの年なんで。物忘れもある」
―同じですよ。
「本当はやめ時があったんだが。役所がコンピュータそろえた時仲間は皆やめた。当時の者で残っているのは私だけで」
―しかし、ご立派ですよ。こういう所に来て勉強されているわけですから。
「昔は、このことはあいつに、あのことはあいつに聴いたらいい、ということだったが、今は皆が分からんこと多い」
―さっきの地域の特徴の説明は分かり易く面白かったですよ。
「そういう所は年の功やな」

「私は1期目始まったばかりだ。お宅は」と四国某市。
―同じようなもんですよ。1期目2年半ですから。
「しかし議会というところは、普通の常識通じないような所あってびっくりしてんですわ」
―そう、そう。