小西教授の講義

 ようやく琵琶湖も晴れました。比叡山と琵琶湖を臨む研修所風景
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今日から関西大学の小西砂千夫教授の講義が始まります。前回は地方交付税でしたが今回は健全化比率について。小西教授の講義はとにかく面白い。関西芸人のよう。柔らかい感じの関西弁でボケとツッコミを独りでやりながら話します。
 皆どっと笑いますが、その前後は必死に一言も逃さないように聞いているのです。一生懸命聞いていても難しいことに変わりません。話の内容は高度、レベルが高いです。基礎的なところが分かっていれば頷けるが、前後の脈絡が途切れるとチンプンカンプンになる。教授はその辺のことが分かっているから、裏話やエピソードで受講議員の頭を和らげているのかもしれない。
 今回の講義内容のメッセージが、A41枚にまとめられています(下記A〜G)。これらの標語を、配布の図を時々使いながらコーヒー豆をじっくり焙煎して抽出するようにひも解いていきます。

自治体財政の健全化》
A無駄を無くせば財政は健全化するか。行政評価と政策評価の話
B歳入の範囲で予算を組む、は本当なのか。
貸借対照表がなければ、財政状態は診断できない
D開発行政の後始末。ゆるキャラばやりの状況の健全性
E公営企業会計の健全化と法適の拡大
F庁舎建設は後回しでよい
G朽ちるインフラとは

 これらのテーマメッセージは、単なる時評ではないし基礎的な解説でもなく、いずれも通説を検証しあるいは打破する教授の研究の最新成果に基づいています。
 教授の話から、何か一般質問で使えるようなヒントがないかいつも注意しているのだが、そういうすぐお手軽に役立つようなものは全くない。日本の社会経済を形作る国家財政と地方財政の根底の思想とシステムの正確な姿を伝えようとしているからです。
 教授は控えめながらよく言われます。専門家でも誤解が多い。分かっている人が少ないと。地方交付税の研究に関しては、よりはっきりと表現します。この辺のことが書いてあるのは自分の本だけだと。確かに教授の交付税に関する沢山の著書は、他の本とは異なる、読むのをそそられる何かを感じます。何かが何であるか、とてもじゃないが表現できないが、簡単に言えば、分からなくても読み進む意欲が喚起される雰囲気があるのです。しかしむずかしい。何度読んでも分からないことが多い。確かに専門家でも分からない世界なのかもしれない。我々は大体どんな枝振りになっているか分かればいいと思うのだが。
 財政の問題には人間の知恵が詰まっており、奥深いところががあるので、通説や「いかにも」と思わせるような言葉に惑わされてはいけない、というメッセージが今回の講義にはっきり出ています。
 一つ一つを解説することなど到底できないが、一つだけ触れるとすれば、Cの「貸借対象表がなければ財政状態は診断できない」。教授の考えによれば、これが最も典型的な通説だという。なくても、現行の現金主義会計から完全に財政状態を捉えることができるということ。もちろん貸借対照表はあってもいいのだが、という前提です。私の能力からこれ以上の解説は無理だが、模範解答はこれ。
 「現金主義による地方財政は、発生主義を採らなくても必ず健全となるような仕組みが組み込まれており、資産超過になるようにできている」
 どこをどう見ればそれが分かるかの、例の突っ込みとボケをやりながらの解説だが、私には奥深く過ぎて理解が大変だが、分からないながら最後は、なるほどと思ってしまうところが教授の話術の賜物だと思います。