国交省による超小型車実用化の目論見



 超小型車の実用化が話題になっています。
 国交省が熱心に推進しており、その動向が6月中に2回も朝日新聞に掲載されました。2週間のうちにほぼ同じ内容の記事で、随分、記事編集に力が入っている感じです。実現すれば30数年ぶりの新しい自動車基準だから話題性は高いといえるからです。
 そういう私も、10年以上前からいわゆる公道を走るミニカーには関心があって、いつかこれが脚光を浴びるだろうとウオッチしてきました。
 大手自動車メーカーが、国交省による公道走行許可の通達が出るのを見越して、試作車を開発しています。まだ原動機基準や軽自動車基準などいろいろですが、トヨタ車体のコムスは原動機付き自転車扱いで市販されています。

 しかし10年以上前から細々と手作り原動機付き自転車扱いのミニカーを作ってきたメーカーがあります。タケオカ自動車工芸といい、私はこのメーカーの超小型車が走っていると、運転手に性能を聞いて確認したりもしました。http://www.takeoka-m.co.jp/
 トヨタ車体もタケオカもいずれも規格は、道路交通法令において総排気量50cc以下又は定格出力0.6kW以下の原動機を有する普通自動車で、道路運送車両法では原動機付自転車扱いとなる車です。
 今後、新しい超小型基準がどうなるかは、国交省の政策次第。私が話した国交省担当者は、車の基準もさることながらまずは社会に認知されることと、受入れが可能なインフラ作りが前提としており、今にも動き出す様子の記事には先走りを感じているようでした。
 国交省の基本的な考え方は、「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン――新しいモビリティの開発・活用を通じた新たな社会生活の実現に向けて」という報告書に出ています。
 もともと、この発想は、36道府県の知事でつくる「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合]です。公共交通機関が整備されておらず、自動車が日常的な交通手段である地方の実情や高齢者の事故実態、ニーズなどを踏まえ、2009年度から高齢者が運転しやすい自動車のあり方を検討してきました。
 近距離しか運転しない高齢ドライバーが利用する車として、軽自動車とミニカー(第一種原動機付自転車)の中間の大きさの2人乗り小型車を提案しました。自動車メーカーや国に対して高齢者仕様の自動車開発を呼び掛け、実証試験も行いました。あまり動きがないと言われる知事関係団体としては随分積極的な動きです。
 http://island-city.city.fukuoka.lg.jp/Topics/town_20111004_1.html
 福岡県朝倉市での実証実験は面白かった。65歳以上の40人をモニターに実施。トヨタ車体のミニカー、原付自転車のコムスと、新規格2人乗り小型車をモニターに1週間ずつ使ってもらった。評判は良かったらしい。
 朝倉市は人口5万7000人、日高市と同じような条件の福岡市の近郊都市です。合併で市街化部がばらけているのも同じで、交通過疎と高齢者の移動の問題がありました。
 そういう条件を認識してか詳細な総合交通計画を、時間をかけ市民の声を取り入れて策定しています。高齢者のミニカー実験は、そういう交通・移動手段計画の延長での企画です。
 日高市でもやってみたら、と思います。国交省ガイドライン策定の第2弾では実用化実証試験で希望自治体を募集するとのこと。