白磁のこころ展

 渡来人の里講演会に行ったとき、高麗家住宅で開催されていた「白磁のこころ展」に寄ってきました。

 私は陶磁器に関しては全く知識もないし、せいぜい陶器市を見ることやお宝鑑賞で本物だ偽物だ、と言う程度なのです。白磁については景徳鎮しか知りません。
 高麗家住宅の開放された窓(古民家特有の名称があるはずだが……)から、ぼーっと白く浮かび上がっている白磁を望見して、暗い部屋の中に入っていきました。

 白い姿が印象的ですが、表面の模様には驚きました。このような手の込んだ文様が立体的に焼き物となる工程はどんなものだろうかと。
 また磁器に書かれている動植物の描き方に、抽象的なスパッとした割り切りが感じられます。鳥や鹿や蝶々は写実とは異なった少しデフォルメというか、自然に距離を置く姿勢が感じられます。青か黒か、せいぜい赤系の色と2色くらいで、白地に書かれた抽象のちょっと前の文様化というか、そんな感じの絵に、私は非常に清々しい思いを抱きました。
 日本の絵の、周囲の風や湿り気や陽光までも感じられる絵とは大違いです。韓国の庭園の作りは人手による刈り込みや整形を一切行わず、自然の樹形や周囲との連続で成り立ったもので、日本の庭園の作りとは異なっているというのが定説ですが、ここには、あるがままの姿とは異なる、自然とは別の者への希求と高潔な意思を感じます。
 とまぁ、評論家風に書きましたが、特に感じたところです。
 白磁展のポスターにあった宣伝文句(キャッチコピー)。
「あなたは、浅川巧を知っていますか?
その白磁のこころにこそ、日韓交流の未来があります!」
 浅川巧? 知りませんでした。いま話題になっている日韓合作映画とのこと。映画のことも知りませんでした。日本が朝鮮を併合した1914年にソウルに来た林業技術者が、朝鮮の人と文化に出会い目覚め、友情を築く物語です。これは見てみたい。
 作品を掲載したカタログを購入しました。800円。