自然エネルギー白書


 ISEP(環境エネルギー政策研究所)から送られてきた『自然エネルギー白書2012』。いくら会員とは言え、約270ページの本が無料で送られてくるのは、環境再生保全機構という独立行政法人大和証券の援助があったからだと思います。証券会社がこういう活動の支援者として堂々と名乗る時代になりました。
 環境エネルギー政策研究所によって編集された、日本で最も先進的内容を持った本です。
・第1章 国内外の自然エネルギーの概況
・第2章 国内の自然エネルギー政策
・第3章 これまでのトレンドと現況
・第4章 長期シナリオ
・第5章 地域別導入状況とポテンシャル
・第6章 提言とまとめ
 全体の方向付けを研究所が行い、各分野についての裏付けの解説を15人の筆者が行っています。
 全体の方向性とは「過去の2度の地球規模の原発事故が世界史を変えたという史実、日本にとって3度目の大規模な放射能汚染という大きな歴史の節目であることを踏まえれば、原子力・エネルギー政策は歴史的な転換期にあり、同時に原子力・エネルギー政策の転換から歴史が変わることも考えられます。この転換期にあって、これまでも、今後とも、原発にも化石燃料にも依存しない民主的で地域自立型の持続可能なエネルギー社会を実現していくことはますます重要になっています」(所長:飯田哲也氏)
 国の大方針の決定と同時に、これからは地方自治体による「民主的で地域自立型の持続可能なエネルギー社会」を目指す努力が必要な時代になってきました。

 大飯原発は再稼働になりました。
 「電力供給の約3割を担ってきた原発を止めてしまっては、日本の社会は立ち行かない。エネルギー安全保障の視点からも原発は重要な電源だ」「計画停電や突発的な停電が起きれば、日常生活や経済活動は大きく混乱する」(野田首相朝日新聞)
 結局、福島原発事故による全国民の痛みを活かすことなく常識判断に落ち着き、いさましいことを言っていた地方政治家も折れて歴史的転換へのチャンスを失いました。あれこれ秤量することなく肝を据えてやったらいい時であったのに、です。