バイバス橋脚工事始まる


国道から川に降りる取り付け道路

斜面の断面

岩石は見えないほとんど赤土

国道下の橋脚地点

 滝不動と台交差点中間の国道299のバイパス工事が始まりました。まだ完全に用地買収が終わったわけではないようですが、予定は当初より遅れており、着工に至ったようです。私が以前、話を聞いたのは平成19か20年、橋梁設計を残して本体設計完成、用地買収にかかって21年から着工、24年頃には完成という話でした。
 始まった工事は橋を支える橋台づくり。2つの橋台と真ん中の橋脚で橋を支えます。斜めに架けるので相当長くなる。橋台の間は100メートル近くあり、中間に下から支える橋脚が入る。
 バイパスの始点は橋台の50〜60メートル先、終点は斎場前、総延長1.5キロとなり、夫々の交差点に信号がつく予定。道路の種類としては3種2級の一般国道で、車道6.5メートル、歩道2.5メートル、路肩0.5メートル、合計12.5メートルの2車線です。 
 国道299から谷底の工事現場に入る取り付け道路、こんな狭く深い所につくるのかと驚いた。ほぼ垂直に近い谷に道路をつくれば崩れる危険があるのではないかと思うのが素人。掘削された土を盛って作るのだが、この辺の土は砂利が少し混じった土で3,40センチ盛っては転圧をかけると非常によく締まってカチカチになるという。キチンとした技術的裏付けがあるようです。
 トラック出入りの取り付け道路ができ、川の流れの手前部分の橋台予定の2箇所で掘削が始まっています。有史以来、地形が何万年もかかってできたことを思うと、ヤマを崩した断面は初めて人の目に触れるものです。こういう場所には、面白みを感じてどうしても潜入したくなります。昼休みの時間を狙って谷に降りました。
 そこにどんな時間の積み重ねがあるのか地層の専門家ならすぐ分かります。私は見ただけでは皆目分かりませんが、地層の重なりを見て初めて時間が表面に出てきた新鮮な驚きを感じるだけでいい。
 しかし私の愛読書である『新版 埼玉県 地学のガイド』を見れば、巾着田を中心とする地形・地層のことが分かり、想像をたくましくすることができる。因みに、この本の監修者は、日高市出身で武蔵台の住人でもあった新井重三氏で、日高町史・自然編編者でもあります。


 二つの図は、同書の155と159ページに掲載のもので、巾着田周辺の地層の状況が模式図としてよく分かります。国道299に沿って日和田山から飯能方向に、八王子構造線という山地と平野を区切るラインが走っています。
 左側が中・古生代の固い岩盤の山地で、日和田山の岩壁、多峯主山山頂、天覧山男坂などがその名残です。
 右側がその山地から流れ出る川が運んできた、飯能礫層という土の堆積地です。
 この飯能礫層の堆積は深く数キロに及んでいるらしい。工事に先立ってのボウリングでもほとんど岩盤に突き当たらない。図4−50を見ればその理由がよく分かります。
 完工は平成26か27年頃。工事現場が狭く、進行を現在の取り付け道路か斎場方面から攻めていくかの選択しかないので、そういう面でのやりにくさはあるらしい。
 この工事現場の近くの堰堤については以前書いたことがあります。写真を誤って削除してしまったので見にくいです。http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20100219/p1