新市長と総合計画・実施計画

 第5次総合計画(平成24年度〜平成26年度)の新しい実施計画が3月に策定され、4月に配布されました。
 実施計画とは、日高市の今後10年のまちづくりの方向を定めた総合計画を進めるための具体的に位置づけられた事業計画のことです。
 総合計画は、基本構想 ・基本計画・実施計画の3層構造になっており、このうち基本構想までは昨年まで議会の議決が必要だったのが現在では議決不要となってしまいましたが、自治体の計画行政の中心であることに変わりはありません。
 基本構想は、まちづくりに対する基本的な考え方を示す理念、目指すべき将来都市像を示し、基本計画は、基本構想に基いたまちづくりの骨格を成す基本的な施策を体系的に示したもの。 実施計画は、基本計画の下の具体的な事業の実施方法等を定めたものです。
 実際にどの程度の参照が行われているのか分かりませんが、職員一人一人の仕事が市全体の事業の中でどの辺に位置しているのかを確認する最も基本的拠り所の資料だと言えます。市民にとっても、市を実践的に理解する上で、余計な説明がなく最も簡潔な形で仕事の意義と目標が関連付けられているので分かり易いと言えます。
 さて新しい改訂板ですが、 一見して、前回の平成23年度〜25年度板よりも、格段によくなっていました。
 この実施計画は3年ごとの見直しとなっています。前回版は、事業の一つ一つに3年の実施計画の欄があるのだが、その各年に同じ説明文がコピペで入っており、ただ羅列されただけの全事業がその調子です。何の工夫も無い習慣的・前例踏襲的資料の典型であったと思います。
 下に示した図が新しい実施計画の個別事業に関する最初のページです。基本目標、施策の大きいくくりの下に、共通目標としての施策の展開と目標値が示され、関連事業の予算と内容が掲載されています。これであれば、総合計画本編に戻る必要はなく、情報としてはこの1ページで完結する。読むべき工夫が成されたと言えます。
 この総合計画は、市長が変わった場合、どうなるのか。これは大きな問題です。
 ○現状、行政の最も中心的拠り所として日高市全体で進行している総合計画
 ○新市長のマニフェスト
 後者が、前市長の考えるまちづくりの指針としての総合計画と異なった方向性のまちづくりを指向するとしたらどうなるのか。当然のことながらマニフェスト優先だから変わる。どのように変わるのか。
 市民も議会も与り知らないところで、ポンポン指示を出し変えていくのか、これでは困る。議会は監視しなくてはならないが、基本計画、実施計画は議会の議決案件ではなく、行政の裁量であるから新市長のやりたい放題になる可能性もある。そうはならないルールが本当は必要である。
 基本構想 ・基本計画・実施計画の3層構造のうち基本計画までを議会の議決とすべき、という議論もあったが、それどころか、国は基本構想の議決まではずしてしまった。その意味はまた別途の問題だが、前市長との違いを際立たせる候補が市長になれば、事業そのものも予算の流れも変わる。
 新市長によって市政はどう変わるのか、マニフェストは発表されるのか。政策変化に注目しよう。