大往生したいなら病院にいくな


 めったにというか、ほとんど無いのですが、『週刊現代』を買いました。新聞の広告で表題のタイトルを見たからです。コンビニの立ち読みで内容を確認し、こうれはもう一度ゆっくり読む価値ありと思いました。
 『週刊現代』と『週刊ポスト』。出版社系のライバル誌で昔から張り合ってきました。政治特集の広告を見ると、現代が小沢一郎擁護でポストが小沢批判です(逆だったかな?)。小沢批判の方が書きっぷりに力が入り記事も面白くなるので、広告を見ている限りポストの方が面白いなと思ってきました。現代の方は記事、編集共に、野次馬精神を満たしてくれるワクワクさせる期待感が多少劣るかな、というのが私の昔からのはっきりした根拠の無い漠然とした印象でした。
 今はどうか知りませんが、ポストは書評が充実していたという記憶があります。ごった煮記事の中に特別うまい材料が入っているような感じで、それを目当てに買ったこともありました。
 『週刊現代』3月31号。表題の記事がお目当てだったが、他の記事もけっこう面白い。ポストがいいと思っていた書評も「日本一の書評」という常設記事で、10ページもある。なかなか面白い。
 巻末には何と綴じ込みがある。ページの折に「ここを丁寧に切り開いてご覧ください」とある。へーっ、まだと言うかまたと言うか、こういう写真ページがあるんだ、と思いました。以前、両誌が競って、この巻末特集を“充実”させたことがありました。いくらいい記事が本文にあっても、これではねーということです。批判が出て自粛したはずですが、人間総体としての理屈のいらない興味に、編集者の関心も動く、読者の要望もあっての“阿吽の呼吸”なんでしょうか。
 雑誌の冒頭特集が「大往生したいなら病院にいくな」。
 巻末の特集が「お待たせいたしました。解禁します」
 しかし今現在の私の関心は「大往生したいなら病院にいくな」。こっちです。「病院に行くな」ということは、医療もさることながら全ての身辺整理の勧めでもあります。少しずつ、母親にこのテーマで“論戦”を挑んでいます。何でも大切にする大正生まれには、なかなか通じませんが……。私の理論武装にこの特集は参考になるし、それに面白い。経験豊富な二人の医師が常識に反したことを言うのだから面白いはずなのです。
 「誤解を恐れずに言えば、理想的な死に方は『孤独死』と『野垂れ死に』だと思っています。医療者も家族もいないから、誰に邪魔されることもない。実に穏やかに死んでいける」
 これは1人の医師の発言です。私自身の関心から言えばこれで、心情的にはピッタリ。