小学校卒業式



 小学校の卒業式は、中学校の卒業式とは違った趣で、それはまた素晴らしいものでした。
 卒業生は2クラス54名。拍手の中、一人ずつ式場に入ってきて、在校生の真ん中の通路を歩いて、来賓席の前を通って自席に着いていきます。一人ひとりの表情がよく分かります。
 子どもの面影を残しながら、少年の精悍さと少女の可愛らしさが表情にあります。こういう成長の間の雰囲気があるのはほんの一時なのだと思います。
 卒業生の後方半分に、1年生の席があります。こっちはまだちっちゃい。足が床に着くかつかないかで、神妙な顔をして座っています。6年間で、こんなにでかくなってしまうんだな、と思いました。
 わが子の時はどうだったか。長女の1年後に長男、その4年後に次男が小学校を卒業したのだが、全く記憶にない。あの頃は仕事で家にいたためしがなく、子どもの成長のほんの一時の大事な時間にも立ち会っていない。今日は在校生の両側にお父さん、お母さんが大勢いらっしゃる。
 ふと、思いました。
 東日本大震災で亡くなった1000人以上の子どもたちと親のこと。
 数日前、深夜TVの太平洋戦争の記録。日本兵士の死屍累々。
 孫は1歳6カ月と2歳。あと10年で今日の卒業6年生。
 その時、自分は75歳。運よく生きているかどうか。ただ生きているだけじゃない、田んぼか畑に立っていられるかどうかだ。
 紹介の名前を言われて「おめでとうございます」を発した以外の2時間。考えるということでもなく、ぼんやりといろいろな事を思っていました。
 卒業生は、今度は上の丘に建つ中学校です。校歌には、武蔵台を取り囲む自然の息吹きが讃えられています。自然への理解が全ての基礎だと思う。この環境を活かしてほしい。
 送り出しは、卒業生と在校生のそれぞれの思いを託した言葉を全員で唱え、在校生吹奏楽団の演奏の中を一人ずつ会場を後にしました。全体が手作りのとてもいい感じの卒業式でした。
 小さい1年生も、2時間よくがんばりました。