議案質疑と議会改革―その5

 議員になった最初の議会で、「先例」という事情が分からないまま質疑の手を挙げて登壇しました。私のその時の発言は、保守系議員からすれば、ここぞというばかりの好機到来で派手にヤジを浴びて壇から降りた経験があります。いい経験でした。あれは現在の規則からすれば、保守系議員が最も力を込めてやじれることで、私は最良の標的になったわけです。
 今回は質疑のことで、随分勉強しました。以前から質疑に関しては大きな問題があると見てきました。3月議会での経験と勉強で、その問題が明確になったと思います。
 議会の改革の意欲の問題は、言われて起こる問題ではない。議員一人一人の意識の問題で、お互い歩み寄りながらの積み木が現実です。即効的な要素は少ない。
 しかし、仕組みの改善で大きい効果が期待できることがあるのではないか。例の「款・項・目・節」の役所仕様の予算書です。この複雑さと面倒な世界は、官のやり方を市民に押し付ける典型です。地域主権といいながら霞が関の作った中央集権仕様を有難がっている時代ではないと思う。
 これは統計のためには必要であるかもしれないが、地域の自治のための道具としては、実際に行われている事業別にした方がいいに決まっています。これは誰の目にも明らかです。
 日高市の予算書の場合、もともとの形式よりは説明に事業別の予算が入っていて改善はされているが、個別事業に財源の割り振りはなく、款項目節の枠組みであることに変わりはありません。
 しかし常識的に考えてみれば、最初からこんな変則的(私たちの側から見れば)予算書が作られているわけではないはずです。事業別に出しているはず。そうであるなら、わざわざ款項目予算書に組み替える必要はなく、事業別にして誰でも分かる形にすれば、計り知れない効果があると思います。
 現在、行政改革で事業評価の策定が進んでいます。これと予算が同じ形式のもとに連動すれば、市の事業運営の情報基盤は分かり易くなるのではないか。この問題は行政改革大綱の課題としても今後の大きなテーマです。実際に多くの自治体で取り入れられた形を見ると、本当に分かり易い。こんないいものなら即刻採用すべきである。
 議会が働かない元になっている官製情報基盤を捨てて市民にも分かる形にすれば、予算審議の制約が解かれ、市民的議論が進み、自ずと淘汰が進んでいくと思います。
 この問題は地方議会への不信、という国民全体の大きな問題につながることではないかと思います。そこに気づかないまま流されてきた結果、既存議会への不信が頂点に達しました。