図版の力

 6日の朝日新聞に「インフォグラフィックス 複雑な情報を分かりやすく」という記事が出ていました。私の問題意識と重なっていますが、これを著作物として流通させることには及んでいません。本当は情報としての流通が重要なのですが、情報へのアプローチの手法としては相当進んでいることが分かります。
 過去2回ほど、図版のことやテレビに出るフリップのことを書きました。工夫された分かりやすい情報が詰まったフリップ等の図(グラフィックス)が何らかの手段で使えればいい、流通すればいい、ということです。またそういう図版の価値を評価すべきということでした。
 流通まではいかないが、見えにくい情報を分かりやすい形にするグラフィックデザインとして、専門的な分野があることが分かりました。日本タイポグラフィ年鑑で優秀作品が表彰が行われ、経産省も支援しているとのこと。
 インフォグラフィックスとは、インフォメーションとグラフィックスを掛け合わせた言葉で、
 「新聞や雑誌で事件現場の詳しい様子や経済統計などを伝える手段として発達した、表やグラフ、イラスト、チャート、地図、ピクトグラム(絵文字のサイン)などがあり、組み合わせることも多い」。
 こういうことに関心があるのは、自分のルーツに突き当たるからです。
 小学校3年のころ、『児童図鑑』という本(確か平凡社だったと思う)を買ってもらって、いつもそれを模写したりしました。その図鑑は、精密イラスト図鑑ともいえるもので、日本と世界の事情をカラー図版(全体ではなかったが)で表したものでした。その本によっていろいろなことへの関心が生まれたような気がします。
 日本タイポグラフィ年鑑で「東日本大震災の被害」という作品がグランプリを受賞したデザイナーの言葉。
 「知っているつもりのものを<未知化>していく視点。できるだけ少ない整理された情報を使って、結果として『もっとわかりたい』という主体的な能動性をどれだけ引き出すかが肝要です」
 全く同感です。デジタル化されても、情報を取捨選択して組み立てる力を磨くことについては変わらないと思います。図を書くことが教育でもっと重視されていい、とも思います。