木更津市議会研修とかずさアーク

 木更津市の議会視察について
 東京湾アクアラインを渡ると木更津市です。同市は、市制を敷いたのが昭和17年と古い。現在は首都圏整備計画の業務核都市として位置づけられ発展しています。なにしろ2本の高速道路が交わっており、インターチェンジが7か所もあり、東京、川崎、横浜方面と千葉の各地を結ぶ高速バスの発着回数が500本もあるという。
 市内道路の街路樹には、名前はまだ調べていませんが、赤い実を沢山つけている木が植えられています。市役所は港の近くにあり広々として気持ちがいいが、植樹は貧弱で隣接の船溜まりもあまりきれいではない。もう少し外回りをきれいにすればいいがなぁ、というのが偽ざる感じです。


・面積 138.71平方キロ
・人口 12万9358人(平成23年4月1日)
平成23年度当初予算
 一般会計:360億円
 特別会計:275億6310万円(6会計)
 企業会計:53億6227万円(1会計)
・財政力指数 0・817
・公債費比率 12.8%
・経常収支比率 88.4%
・職員数 956人
・議員数 28人
政務調査費 年間24万円
・報酬 45万円
 木更津市議会の議会改革は、議会基本条例の制定を将来の視野の入れていますが、当面はそれについて具体的な日程はなく、個別の案件を一つずつ取り組んでいるようです。これはどちらがいいか、という問題ではなく、その議会での今までの流れや近隣の動向があるためと思われます。
 これまでの成果で私が注目した項目いくつかと、現在、検討されている項目をいくつか挙げてみます。
◆今期市議会の議会改革
 前期市議会から、改選後の今期議会に申し送られた事項を中心に、会派代表8人による議員定数等調査特別委員会を設置し検討している。
 ① 議員定数の見直し
 ② インターネット中継の導入
 ③ 政務調査費の見直し
 ④ 議員報酬等の見直し
 これらについて市民の意識調査アンケートを行う予定。議員定数政務調査費、報酬等、議会改革の検討項目で最も重いテーマを取り上げ、市民の意見を聞く態勢をとっています。副議長が言われた“議員の改革意欲は高い”ということがここに表われていると思います。
 この問題をどの時点で取り組むか、これは各議会によって異なってくると思います。二元代表制ほか議会の役割、地域の課題等をしっかりと市民と議会が検討、議論しながら、理解を深めていくことが必要だと思います。
◆倫理規定(平成22年8月)
 6項目の簡潔なものだが、議員としての倫理と識見を求める内容で、議員個人の行動をあらゆる側面から律することをうたっている。特に地位と権限を利用して働きかけることについては、7項目の具体的項目を挙げて禁止しています。これは、千葉市で市長と議長の汚職があったこともあり、議長の強い意向のもとに設けられたとのこと。
◆本会議一般質問
 各議員の質問開始時間を予め決めてしまう。
 これは会議運営からも、傍聴者の都合からも都合がいいことです。
◆重要案件の事前説明
 全員協議会での市長・執行部による説明事項として、重要事項一般はもちろんだが、パブリックコメントを行う事案を明記している。
 これはいいことだと思います。日高市では、行政計画の策定スケジュールに関して特に市議会に報告はなく、最終段階のパブリックコメントもそうです。HPでの掲載を見て知るのが実情で、これは改善すべきと思っていました。そのためにも、全員協議会の月1回の定例化を提案したわけです。
◆本会議の映像放映
 ケーブルテレビは、一般質問の録画を議員一人30分放映。放映は無料だが、最近ケーブルTV会社から有料の話が出てきた。地域FMで一般質問の録音中継を実施。インターネット中継は費用対効果の点で実施していない。今期の検討課題。
フラットな設計になっていて圧迫感がない議場。









 終了後、時間に多少の余裕があったので、市の北方にある企業誘致のために開発した地域である上総アークに回りました。低い山が連なる典型的な房総台地であり、バスから見ても相当広大であることが分かります。
 しかし、施設の姿は2箇所は確認できたが、あと目にしたのは工場がいくつかだけで荒れ地が広がっています。
 どうも、おかしいなと感じました。
 丘を縫って走るバスの車窓に、オークラという名前が入っているホテルが出てきたのにはびっくり。実際の名前はカタカナでもっと長いのだが、オークラと入っているからにはそうだろう。何でこんなところにオークラがあるんだ、と思いました。その一角だけは周囲の見栄えも取り付け道路も立派です。

(中心風景。かずさアークHPより)
 その日の夜、ネットで調べてみました。
 やはり、失敗の風景でした。かずさアークというのは、千葉県と自治体の第三セクターで造成・販売し、バイオ中心の先端技術誘致という目的で運営してきたのだが経営破たん。52億円の損失を出した。千葉県は出資・貸付金を合わせて約52億円を支出しているが、倒産に伴いそのほとんどは回収不能となる見込みという(ウイキペディアより)。
 絵に描いたような第三セクターの経営破たんです。52億円!! 何という金額。これだけの税金を納めるために納税者はどんな苦労をしたか。誰がどんな責任をとったのだろうか。
 オークラ・アカデミアパークホテルも経営不振で再建中。ホテル隣接の中心施設で時々大きなイベントが開催されるようだが、普段お客が来るとは考えにくい。オークラを冠しているだけに、ホテル料金は高い。シングル2万円台。
 「先端技術誘致」という言葉はどうも胡散臭い。企業誘致のお題目として開発行政の決まり文句であった。最初は「先端技術」「研究開発」といって誘致を展開するのだが、それが無理となった以降は枠を広げた誘致(許可)となっていく。
 日高市でも最近まで喧伝されてきました。「広報ひだか」でも、この言葉のもとに、旭ヶ丘方面の地域が「むさしの研究の郷」構想として大きく取り上げられたこともありました。この構想は、早い段階での主要企業へのアンケートでも、先端技術、研究開発企業の進出意欲がゼロであったことが記録されています。
 埼玉県主導のこの計画は結局、中止となり、いままた、農業大学校の跡地利用の形を変えた拠点構想となっています。造成などしない単なる区域指定の計画で、大きなお金の投入がなかったと思いますが、それでも多くの時間とエネルギーが注がれました。その結果、工場と住宅の混淆という望ましくない状況も出てしまったのだと思います。