佐倉市議会改革項目について


黒川記章設計の市庁舎。40年くらい経っているらしい。

城跡の台地突端に立つ市庁舎

議会内部。冷暖房がきかないとのこと。しかし木更津市議会もそうだったが、議場内部が平坦な構造になっています。執行部との距離感もそれほど感ぜず、傍聴席も低い。日高市議会の構造はいつもよくないなぁ、と思っているので、合意の場としての議場の構造は重要だと思います。日高市の議場は、ひな壇の傾斜が急なこと、傍聴席が天井に近く、議員が見えないほどの距離があること等、閉鎖的重苦しさを感じます。

 佐倉市議会の改革のいくつかの特徴と主な項目を挙げてみます。
◆「議員働きかけ事件」以前と以後
 平成21年のこの事件以前からも代表者会議で議論されてきたが、各会派で出された文書による意見を、可能な案件から順次協議していき、この事案を議会改革特別委員会に引き継ぎ、協議を行った。この委員会は議会開催中は行わず、休会中の会議とした。約20カ月に27回の委員会開催。その際は、採決で決めるのではなく、全会一致を前提とした。そのため2年以上の時間がかかった。
 日高市議会も「先例集」と継続案件と新規提出案件を統合して議論することは同じです。決定も全員一致が望ましいと思いますが、この点についてはまだ決まっていません。
◆研修
 全ての議員が議会基本条例の必要性について共通認識を持つために、研修や各地議会の視察を行った。全員視察2回(所沢、京丹後)。その他、個人視察3カ所。研修は、法政大学の廣瀬克哉教授を招いての講義。
 廣瀬教授は、私もメンバーである「日高を変えたい市民の会」でお呼びし、講演会で話していただきました。日高市議会でも、議論の進捗に合わせて、このような講師を招いての研修が必要になると思います。
◆テレビ放映
 ケーブルテレビは70パーセントという高普及率、これは数年前、6億円を投じてCATV網を整備した結果という。本会議中の録画を次の日の夕方から放映。予算は年400万円。一人50分を頭から流して時間で切り、切った後の内容はテロップで。プラスアルファとしてネットも研究中、ユーチューブ等の第三者ネットはセキュリティのこともあって否定的。今後、議会議事録検索業者も含めて運用業者の選定も検討する。正確な視聴率はCATVで分からないが30パーセントはあるだろう、反応はいい。
 日高市でも、CATV放映は急がなくてはなりません。傍聴に行くことは相当な負担となりますから、自宅で議会の情報が得られるケーブルテレビは、情報公開の再前提です。視察で相当な知見が得られ近隣の経験もあることですから、まず最初に実現させたい、個人的にはそう思っています。
 現時点では、来年度予算の骨格が決まってしまったから急いで議論しても無理、という声が出ています。新議会が発足してすぐ改革委員会を立ち上げて議論すれば間に合ったはずです。私が議会改革検証委員会を提案した時に初めていれば、と思わざるを得ません。
◆議会報告会
 これは議会基本条例の市民への説明会とは別の、条例に位置づけられた定例会の開催に合わせた報告会。2部構成。1部で常任委員会委員長報告を行い、2部でテーマを決めない意見交換会とし自由討論。相当な人数(200、300人?記憶未確認だが百が入る多い数)が来た。この報告会は要綱を作らずに開催しているので課題がある。実際のところ、参加者は具体的な要望のみの話となってしまい二元代表制の意義が理解されていない。要望はまとめて冊子にして市長に届けることにしている。
 日高市議会でも、議長が報告会については熱心です。どういう形式で行うか、これからの議論ですが、そう変わった形式があるわけではないので、佐倉市議会のような形になるのではないかと思います。重要なのは、二元代表制の意義の議論と、議会の役割をその中でどう発揮するか、また市民の意見をどう受け止めるのか、という問題を仕分けしながら行うことだと思います。
◆反問権と議員間討議
 いずれも難しい。明確には決めている市はない。何でも市長が反問していい市は一つある。市長が「財源は何だ」と聞いてくるのはいけない。質問の正確な意味を確認することは当然だが。これも条例では5カ所あり決められているが、方法的に賛否に関わることなので難しいし、委員長の采配によっても影響される。
 これらは本当にむずかしい問題です。佐倉市議会は、課題を知っていても敢えて基本条例に入れてしまったのかもしれません。場数を踏みながらの改善でできることもありますが、松坂市の改革のように、課題がある問題、賛否が明確に分かれるテーマを継続議論としていく考え方もあります。
◆基本計画の議決
 佐倉市基本計画の策定、変更、廃止について、「議決すべき事件を定める条例」を制定し、議会の議決を必要とすることとした。
 基本計画の基本構想部分は今まで議会の議決を必要とされていましたが、昨年の地方自治法の改正で議決を必要とされなくなりました。総合計画は、基本構想、基本計画、実施計画の3階建てになっており、議会の議決は、全体の趣旨を決めた構想部分だけでした。行政の骨格を規定している基本計画について議会が口を出せないことはおかしい、と議論はありましたが、そこまで議決の範囲に加えることは執行部の抵抗もあってなかなか実現しなかったというのが実情です。佐倉市議会では、自治法改正いかんにかかわらず、基本構想だけでなく基本計画までも議決の範囲にいれたわけです。
 これは相当な快挙です。行政の仕事を見ていると、基本計画の政策の実現に行政目的が置かれ、たくさんの個別の事業計画もそのもとに配置されています。基本計画の実現とそのための予算執行は行政の裁量のもとに置かれていますが、そこに注文を付けることは、議会の役割として必要なことを私も感じます。