議会視察:佐倉市
初めての議会運営委員会の視察は非常に有意義でした。出かける前、内心では、議会改革のことは本とネットでの机上の勉強で間に合うはずだな、と思っていたのですが、率直に言ってそうではありませんでした。
ある程度成果を出した議会では、どんなところに苦労したか、何がきっかけであったか、市民の反応はどうであったか等を、議員代表から直接聞くのは非常に参考になりました。また改革途上の議会の話では、当方の実情と比較しながら、方法の可否や不足を確認できます。
いずれにしろ、議会改革は本音と建前、議員の理解の深浅、市民との距離の遠近など、いろいろな要素が錯綜するので、これから進めようとする私たちとしては、当事者それも議員の経験や声がおもしろくもあり、参考になります。
常任委員会にしろ今回の議会運営委員会にしろ、行政視察の作法はどこでもほとんど同じようです。もっとも私は、文教経済常任委員会の視察を含め2回目、4自治体からの判断ですが、そう言って差し支えないのではないかと思います。
主なプログラムは、部屋での説明と議場見学および写真撮影の3つ、中心はもちろん委員会室での研修です。
先方の議長、事務局の歓迎あいさつがあり、当方の委員長、議長お礼のあいさつの後、説明が始まります。どこの自治体もそうですが、入室時すでに、資料がビシーッと耳をそろえて用意されています。この資料が自治体の概要と議会改革の経過・内容の詳しい資料からなり、どこでも充実しています。
頃合を見計らって、お茶と当地のお菓子が配られます。この辺はどこのお役所も完璧で、受ける側としてはその完璧さは気持ちよくもあります。
説明は議会事務局が行うのが普通のようですが、今回、佐倉市の視察では、現議長が数年にわたる議会改革の代表者会議や委員会の責任者であったことから、議長自ら説明と質疑応答を行い、機微に触れる話を聞くことができました。
また木更津議会では、公務の議長に代わり出席された副議長が質問に答えていただいたのだが、非常に率直な内容であり、これから進めようと言う私たちにとっては大いに参考になった。
とりあえず簡単なまとめをしてみます。
視察2日目は佐倉市。佐倉市といえば国立歴史民族博物館、西の民俗学博物館と並ぶ日本を代表する2大博物館の一つです。私も以前来たことがあり今回が2回目。江戸期以降の歴史豊かなまちで、城下町の面影が色濃く残っています。江戸幕府後期の要職にあり、開国を唱えた佐倉城主の堀田正睦が有名です。
私鉄とJRの2線がある程度の距離で並行して走っており、首都圏のベッドタウンとして人口が急増した。意外なことに、行政面積の77パーセントが市街化調整区域で、23パーセントが市街化区域。この割合からすると日高市と似ていますが、特徴が異なる3地域がそれぞれの特性を活かして発展しているようです。
①地勢的・行政的に中心で歴史豊かな城下町地域
②農業が盛んで自然を残す里山保存地域かつインターの利便を備えた内陸工業団地
③宅地開発による人口増加とそれに伴う商業発展地域
佐倉市のデータは次の通り。
・都心からの距離:東へ40キロ (日高市と大体同じ、西へ40キロ)
・面積:103.59平方キロ (日高市:47.48平方キロ)
・人口:170,010人 (日高市:57,865人)
・一般会計当初予算:平成22年度404億2,756万円
(日高市:平成23年度157億円)
・特別会計予算:8会計288億2,572万円
(日高市:平成23年度、5会計101億3,661万円)
・市職員数:平成23年度989人 (日高市:平成23年度378人)
・議員数:平成23年5月28人 (日高市:18人)
・議員報酬・政務調査費:月額46万円・年額48万円
(日高市:月額31.7万円・年額12万円)
1 佐倉市議会の議会改革の成果
① 議員定数の30から28への削減
② 議員報酬を48万円から46万円に改定
③ 議会基本条例、政治倫理条例を制定
④ 基本計画を審議、修正可決
⑤ 広報公聴委員会の設置
⑥ 第1回議会報告会、意見交換会の開催
現在は、第2次議会改革推進委員会を設置、引き続き協議している。
以上の項目を見ると、大きな成果をあげたと言えます。ここに至るきっかけとなったある事件があり、また過去に佐倉市を揺り動かした大事件があった。性格の異なる2つの事件を抜きにしては佐倉市議会改革は語れない。それを改革のエンジンに変えた佐倉市議会の経過は非常に示唆に富んでいます。
2つの事件とは何であったか。