議長の入口

 テレビニュースを見ていたらハッとしました。
 どこか分からなかったのですが、議会の風景を写していました。東北のまちで復興計画関係の議案を審議する議会風景だったと思います。
 議長が画面に映ったのですが、議員席とは異なる方向から、その時は左の方向から入ってきたように見えました。日高市議会では、議長は議員と同じ後部の入り口から入り、休憩の時も終了した時も議員席に戻る形になります。
 ハッと思ったのは、議長はその職責から考えると、本来の入り口はどこなのか、ということです。それまでは、議長がそのまま議長席から降りて来て議員と談笑したり、後部の入口から出入りすることに違和感を抱いていなかったのですが、何となくしっくりといかない気分はありました。
 テレビを見て、議長の議場への入退は別なのだ、ということに気がつきました。そこで、近隣を含めて何カ所かの自治体の議会事務局に電話をして聞いてみました。
 「議長は議場へはどこから入るのか」と。
 答えは、異口同音に「議長席の後ろの入口」で、それが慣例になっているとのこと。慣例の理由は聞きませんでしたが、恐らく、議長は一般の議員とは別であるということだろうと思います。つまり議長は会派を離脱した身分なのだから、議場への入室も議員とは別にして、その意義を明確にするということです。
 これは、議長という職務の重要性を象徴する重要なことではないかと思いました。会派とは一線を画し議会全体を代表することを、意識的にも視覚的にも求められるということです。
 議場の正面、議長席の後ろの入り口から入ることによって、議長は自らの役割をその都度再認識し、日常の議員行動においても律することが求められることも意味していると考えられます。