請願と陳情

 20日、12月議会(第5回)最終日は、議案と請願及び意見書の審議です。
 即決済みの人事案以外の議案は、共産党が委員長報告に対する質疑を行い、採決では委員会が「原案可決」とした審査結果に全員賛成となりました。
 最大の課題である議案第63号の埼玉西部消防組合の設立については、すでに先行して各市議会で賛成となっていました。私も「賛成」としました。賛成はしたものの、設立のメリットとされた各種シュミレーションの成果は、いつの日か質さなければならない。
 また、請願1本も同じく賛成、意見書5本の提出も賛成という結果でした。
 請願は、請願第3号「子どもの被ばくセロを目指す」ための放射能対策の実施を求める請願 です。「日高の子どもたちを放射能から守るネットワーク」から77名の署名を伴っての提出でした。総務福祉常任委員会で審査され、採択すべきもの、という審査結果でした。

 請願は、憲法16条に定められた国民の基本的権利です。未成年者であろうと外国人であろうと身分に関係なく認められています。請願の範囲も、国や地方公共団体のことなら何でもOK。
 請願、陳情の審査――これは議会の重要な役割とされていますが、特に反対意見がなければ本会議最終日の採決まで、付託された委員会での審議等、事務が淡々と進められます。
 9月議会では、自然エネルギー関係の請願について付託された委員会で賛否両方あり、質疑、討論、採択が行われ、また本会議でも同様に賛否両論の討論が行われました。
 請願は「議員の紹介により請願書を提出しなければならない」と自治法に規定されています。紹介とは、請願の趣旨に賛成し議会へ橋渡しを行うことです。具体的には、表紙に紹介議員の署名をして議長に提出されます。
 これは住民の代表機関である議会に、請願を通して住民の意見を反映させ、議会の意思をもって請願の主張を実現させようということです。したがって、市民の声を行政に届け、その実現を助けるという意味で、議会対行政という構図になります。
 しかし、最初に「内容に賛成の議員」があるのではなく、請願が通らなければ意味がないとして、要するに賛成してくれるなら誰でもいい、多数派が手っ取り早いというのが実情です。少数派や多数派と対立している会派では、委員会での審議もスムースにいかないということです。また市民の声としては正面からはっきりと断ることが難しかったり、問題を含んでいたりして完全に賛成といかない場合などいろいろなケースがあるようで、紹介議員を誰に頼むか、あるいは引き受けるかは政治的配慮が働きます。
 12月議会では、意見書が5本もありました。
 「市の公益に関する事件について、国会または関係行政庁に対して意見書を提出する権限は議会の権限であるから、意見書の提出を発議するのは議員または委員会である」(『議員必携』)。
 具体的には議長あてに提出され、議長は議会で審議して採決する段取りをとる。可決されたら議長名で国の関係箇所に送られます。
 賛成された意見書には提出議員名と賛同者としての会派代表議員名が連ねて記載される。意見書の提出議員の背景は、特定の目的を持つ市民であったり団体であったり、政党であったりといろいろです。内容に必ずしも詳しくない議員が紹介議員になることもあるが、議会としての意思を通せばいいということです。
 しかし、請願も意見書も、提出の元になった市民や団体等が意見を言う機会はない。最初の本来の提出者の理由を聞かずして、何のための請願や意見なのか。やはり意見を述べる場をつくるべき。議会改革の大きなテーマの一つです。