新聞記事からの連想

 新聞は、面白かった記事は切り抜かず、そのまま紙面全面を破ってあたりかまわず置いておく。切り抜こうが整理しておこうが、どうせ読み返すことはないというのが過去の経験。だからその辺に置いておいて目に留まったら読む。2回読んだら束のなかに。保存は各ファイル行き。
 いま机の上に置いてある11月の新聞に「改革すべきは年金なのか」という特集記事がありました。この中のライフネットという聞いたことのない生命保険会社の副社長の話が気になって、紙面を切り離しておいたものです。
 話の大要はこうです。
 知名度のない顧客の信頼もない立ち上げたばかりの保険会社が採った方法。それは徹底した情報公開。民間会社にとって商品の企画ポイントや利益率に係る情報開示などあり得ない――これが従来の考え方です。
 それが、知名度ゼロ、信頼度ゼロの生保会社は、「保険料率に占める運営手数料の割合や額」という“公開がタブー視されていたこと”を公表しました。
 「顧客には、病気や死亡時に公的な保険で受けられるサポートを説明し、それで足りない分だけ民間保険で補うよう勧めています。自分たちに不利な情報も隠さず伝えることが信頼につながると考えています」
 これで営業成績を伸ばしているらしい。
 この記事を取っておいたのは、日高市の選管事務不祥事との連想があったからです。日高市の対応は、霞が関に負けず劣らずの見事なまでに官僚的でした。
 ミス、誤りと言っていたのを、私は作為が介在したかどうかを追求し「不適切処理」という言葉に変えさせました。
 こういう場合は、民間では必ず「第三者委員会」を発足させ、事実関係を公表するのが前提です。それなのに、署名もない“名無しの権兵衛”の一片の謝罪紙切れで済ませようとしました。
 そして追求の手が緩まないのに対して、新選管事務局長による事実関係の調査公表となったのです。後退しながら後だしの対策です。
 私は、これは特定の個人を処罰すれば済む問題ではないと思う。明らかに組織の問題です。特にリーダーとしての市長を含む意思決定に係るトップ層に問題があるのではないかと思う。断片的に出てくる事実の観察からすると、病根は相当深いと思わざるを得ないが、内部の調査をしたわけではないから、正確なことは分からない。
 また一方では、日高市役所職員は自治労にも入っておらず、権利と自己点検と政治家(市長)への正当な対峙なき組織になってしまっているのではないか。これは杞憂?
 しかし、明らかに他の自治体と競うべき計画行政の能力と説明能力が不十分なように見えて仕方がない。これは厳しすぎる見方か?
 行政(市長を頂点とする執行部)は強大な権力を持っている。もっと大らかに、正直に対応することが、納税という大きな義務を背負う市民の信頼を得るために必要だと思う。
 選管不祥事への不誠実な対応から予算編成の公表まで、日高市役所の対応には陰気な官僚体質と内向きな自己防衛を感じるのです。
 一般質問では、《内部統制と組織マネジメント》という、外堀の淵にたっての“犬の遠吠え的”な問題指摘になってしまいました。“明るく元気に”議論する建設的な「風土」を作るために何が必要だろうか。