自治体議会政策学会に出席

 行こうか行かないか迷っていた自治体議会政策学会の講座。3日間連続なのだが、1日だけの選択もできる。初日テーマが聞くに値すると思っていたのですが、なにせ1日で2万円とちと高い。
 しかし、チラシ初見参でいいな、と思ったのだからここは行くべしと決め、前日の午後、当日受付もOKとのことで出席しました。
 自治体関係の学会はたくさんあります。自治体議会政策学会は議員と研究者が中心になって、議会と行政の改革を進めるために平成11年より活動しています。
 私が出席したのは、【議会に臨む――行財政改革を遂行した3市長に議会と行政の関係を聞く――】という総合タイトルのもと、次の4講義を1日でこなす講座です。
1 地方議員の役割と議会改革(自治体議会政策学会会長 竹下譲)
2 財政健全化と議会の審議(元四日市市長 井上 哲夫)
3 総合計画と議会の審議(山梨学院大学教授・元多治見市長 西寺雅也)
4 予算審議での議会の役割(元衆院議員・犬山市長 石田芳弘
それぞれの方が経験と持ち味を発揮された話で大変有意義な講義でした。やはり全員が意思決定と推進の責任者ですから、行政内部のことがよく分かっています。

「2 財政健全化と議会の審議」の井上氏は、地方自治体の財政再建ではよく知られた方で、平成8年から20年まで3期12年の成果である財政健全化をやりとげた功績は各方面で評価されています。ご自分では参院議員であったにも関わらず“泡沫候補”だったと言っていますが、しがらみのない分、土地開発公社の巨額赤字の一掃をはじめ長期間据え置かれた下水道料金の改定など数々の行財政改革を成功させました。
特に印象に残った点。
○行政経営を管理型から、成果重視、市民への説明責任、効率運営に移行させ、意思決定とミッションの遂行を明確にしたこと。
○その中で組織・人事管理と行政評価、予算編成を連関させ全体の効率をあげたこと。実例として、行政経営システムの総括図と事業評価のさきがけである業務棚卸表が掲載されていました。
日高市ではこの辺の仕組みがトンと分からない。市長の意思決定とそのミッションの決定過程及び市民への説明が全体の行政経営の中でどういう風に行われているのか。この辺の問題意識の一部を先日の一般質問の中に一部入れました。今後の課題です。
それにしても、知事の北川氏と同じ時期の改革で共通するところも多い。何か相互作用があったのだろうか。
「3 総合計画と議会の審議」の西寺氏は元多治見市長。27歳で議員初当選。6期務めた後、市長3期やって引退。現在は山梨の大学で教鞭をとっています。
経歴を見て、こんなに若いころから議員だけをやって市長になった人はどんな人か、大丈夫か、とも思ったのですが、講義はち密で、実務を知り尽くした中での問題提起は極めて参考になりました。この講座出席の最大の目的は、この講義だったので大あたりでした。
参考になった点。
○総合計画を基本計画も含めて議会の議決とすることによって執行部に緊張感と予算編成に整合性をもたせることが可能になる。
○政策選択に対する合意形成のため、計画の初期段階からの徹底的な議会と市民参加を行うこと。討議要綱を作成し職員と同じ平面での議論。
○基本計画と財政計画を合体させることで事務事業の進捗と見直しが可能になり、それを議会と市民が検証できるようになって行財政改革の効果もあがること。
語られた具体的な手法は、総合計画が出発したばかりの日高市にとっては、どこまで取り入れるかがまず課題になります。成功事例はどれも改革派市長のもとでのリーダーシップが前提となっています。そういうことに積極的でない首長では職員のモラルも上がらないでしょう。
 「4 予算審議での議会の役割」の元犬山市長の石田芳弘氏。この方は、かつて自民党大物議員の秘書を経験したのち、県会議員3期12年、犬山市長3期を務め、“新しい公共”の意義に共鳴して民主党から国会議員になり、任期途中でこの間の名古屋市長に立候補した方です。
 選挙後の名古屋市議会はメルトダウンが近づいているという。今までが余りにひどい議会だったので市民はどっと批判の流れを作ったが、今また別の意味でひどい議会になってまた同じ元の木阿弥に戻るとも言っています。当意即妙に話す市長選の内幕話と、国会議員を務めた人らしく、行政全般と政治の関連する話は面白かった。


会場は、横浜港を眼下に見下ろす神奈川県民ホール

 中華街には歩いて5分。まだ行ったことはなかったので、良い機会と思って5時半終了後、行ってみました。沢山の店が、旨いぞ、安いぞのディスプレイの満艦飾。どの店がいいのかは分からりません。
 3周回って疲れたので、メイン通りの、とある小さな店に入りました。家族連れと若い者二人連れ、年寄りの二人連れがテーブルに着いていたので何となくここでいいかと思った次第。
 当たりでした。5品付いて980円ですと。ビールを飲みながらゆっくり食べましたが、まっ白い麺のネギそばほか全部美味しい。女経営者はこんな不景気なのに来てくれて、旨いとまで言ってくれるとは嬉しい限り、とお世辞を言ってくれました。お世辞もほろ酔い加減ではもう2品くらいの価値はある。
 思い切って参加した講義の満足感と、初めて行って美味しさを感じた中華街の小さな店。両方とも大当たりでした。