請願が通った!

  昨日の議会で「日高市における自然エネルギーの推進を求める請願」が可決されました。画期的なことです。
 「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と憲法16条に定められています。請願の権利は、国民の基本的権利の一つとして保障されています。
 この請願の権利を行使して出された今回の請願は、内容もさることながら、若い人たちによるものであったことがヨリ新鮮でした。
 請願の中に明記された5つの項目に、いま日本と世界が直面しているエネルギーに対する価値の変革を推し進め、特色あるまちづくりを行っていこうという意気込みが込められています。


一、日高市として自然エネルギー推進都市を宣言すること。
二、自然エネルギー活用に関わる調査研究を実施するとともに、その成果報告を実施すること。
三、地域の自然エネルギーの様々な有効性に着目し、都市計画およびまちづくり政策に地域の自然エネルギーを含めること。
四、市民に学習の機会を提供し、自然エネルギーの普及に向けて共同で取り組むこと。
五、自然エネルギーを促進するための枠組みを国に求めること。


 共同提案者である紙英三郎さん、愛さん夫婦と船戸真理子さん、池田文さんの4人は、みな20〜30代です。しかも有機農業の実践や安全な食材を使った料理の探求、自然を通した子供の教育などに携わり、自然エネルギーを生活に取り入れることに関しては、並々ならない情熱を持っています。この請願のために署名活動も行われた結果、934名が集まり、市長に提言として届けられました。
 今回の請願は内容から言っても、全会一致で賛成されるべきもので、その点は残念なことでした。なぜ全会一致とならなかったか。質疑や本会議の意見で明らかであるが、一と五の項目の手続きや手法に問題ありとされました。それも一理はあるが、それ以外にも、採決で示された議員の投票行動のパターンが影響していると思われます。
議会に請願書を提出するには議員の紹介が必要で、1人でも可能です。
「紹介議員は、請願内容に賛意を表し、請願者と議会との橋渡しの役をする者であるからその内容に賛意を表する者でなければ紹介議員になるべきではない。…… 一方、住民は、その実現を図りたいばかりに、できるだけ多数の議員の紹介を求めようとする傾向が強い」と、『議員必携』は戒めています。
 私自身は、提出する前から議会勢力図を念頭に置いて、内容や紹介議員を調整することも良い結果につながらないのではないかと思います。この請願に限ったことではないが、議会勢力図から発想する考えは、結局、市役所4階の行動原理に飲み込まれることになるのではないかと思う。
 何が重要で何が必要か――問題の短期解決、長期的課題の違いはあるかもしれないが、やはり本筋をキチンと立ててのやり方が必要だと思いました。


 採択された請願は、議会が請願の内容に賛成であるという意思表示であって、盛られた具体的内容の実現については法的な保障はありません。しかし、一旦採択された以上、市長はじめ関係する部課が取り組んでいることの確認や促進が必要です。今後、進捗については議会全体で見守り、市民に報告もしていかなければなりません。
 今回の請願の内容は、もう既に日高市で取り組んでいるものから、今後長期的に取り組んでいくものまで、幅広く分布しています。また該当する内容も市の政策・施策の各方面に及ぶので、進捗の確認は必要ですが、市民全体がじっくりと勉強しながら取り組んでいくのがいいと思います。