議会人事のパズル

  地方議会では委員会で議案が審議され、各議員は委員会に所属することが前提となっています。議員の委員会での発言、およびそれが議会全体でどう位置づけられるのか、この辺の仕組みが分かりにくいところではないかと思います。
 この仕組みと議会の機能と役割の関係についてはたくさんの議論がありますが、新米議員として限られた範囲での感想を書いてみます。法的に厳密な言葉の使用には自信がないので、日常的言語での表現になってしまい正確さを欠く場合があるかもしれません。
 地方自治法では、議会の常任、議会運営、特別の3つの委員会について触れられています。全国のすべての自治体の議会で採用されている委員会ですが、自治法では設置を定めているのではなく、「条例で委員会を置くことができる」としています。(第6章議会、第五節委員会)。
 どうしてどこも同じ形態になったのか理由は分かりません。日高市でも、日高市議会委員会条例(平成4年制定)が定められ、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会の設置が決められ、任期や運用が細かく定められています。内容については市HPの日高市例規集の検索で分かります。
 地方議会の根幹をなすものとしての委員会はこのように条例によって位置づけられ、その人選は「議長が会議に諮って指名する」となっており、選挙後の初議会での案件となるわけです。


 委員会人事の話は、最初の代表者会議で議長選挙の話と同時に機械的に始まります。
 そして結論はこうなりました。
 (1) 常任委員及び議会運営委員(平成23年5月13日就任)
○総務福祉常任委員会(定数9人)
 ○○ (委員長) ○○ (副委員長) ○○  永沼 大芳  ○○  ○○  ○○  ○○  v
○文教経済常任委員会(定数9人)
 ○○ (委員長)  ○○ (副委員長) ○○  ○○  横山 秀男 ○○  ○○  ○○  ○○
○議会運営委員会(定数9人以内)
 ○○ (委員長)  ○○ (副委員長)  横山 秀男  ○○ ○○ ○○   ○○  ○○
(2) 議会だより編集委員会平成23年5月13日就任)
 常任委員会から互選による委員:○○ (委員長)  ○○
 議長の指名した委員:○○(副委員長)  ○○   横山 秀男  ○○
○○

 
 この人選、特に委員長人事が主要会派の関心事とされ、それは議長選挙とも関係します。
 この結果に至るまでに起こったことを挙げてみます。そこに、どういう多数派が日高市議会を動かすかのヒントがあると思います。
○最初の代表者会議で議長選挙の方法について2案出る
 ①立候補による所信表明の公開選挙――田中まどか、横山秀男提案
 ②立候補による所信表明の非公開選挙――保守Aの一人が提案
○代表者会議で各会派議員の所属希望を聞く。これは希望通りとなりますが、定 員を超えた議会だより編集委員会はくじ引きとなった。
○議員懇談会で、議長選挙の方法が2案出る
 ①本会議場での立候補所信表明で公開選挙――田中まどか、横山秀男提案・主張
 ②全員協議会での立候補所信表明での非公開選挙――保守Aの一人が提案(代表者会議と同一)
○議員懇談会で、上記2案の採決。
 ①に賛成:9名――民主(横山、長沼)、無所属(みんなの会=○○、○○)、共産、無所属B(保守系2会派4名)
 ②に賛成:8名――無所属A(保守系3会派5名+1名)、公明(2名)
 結果は①に決定:本会議場での立候補所信表明での公開選挙
○議長選挙
 ○○男議員……7票(無所属A=保守系3会派6名+1)
 ○○巌議員………4票(無所属B=保守系2会派4名)
 ○○議員…5票(民主2、無所属=みんなの会2、+1)
 ○○議員……2票(公明2)――○○議員は立候補表明と所信表明を行わず、自身への投票となりました。
○委員会委員長――議長選挙の後、委員会人事が別室で行われ、先にあげた結果となりました。
・総務福祉常任委員会(定数9人)
 ○○(委員長) ○○(副委員長)
・文教経済常任委員会(定数9人)
 ○○(委員長) ○○(副委員長)
・議会運営委員会(定数9人以内)
 ○○(委員長) ○○(副委員長)
・議会だより編集委員会
 ○○(委員長) ○○(副委員長)
 議長、議会運営委員会委員長・副委員長、議会だより編集委員会委員長・副委員長が、無所属(保守A)と公明党となりました。代表者会議からの推移を見れば、これが多数派であることは分かると思います(議長は会派から離脱しますが)。この情勢は、選挙前と同じ構図となりました
 「多数派」とならなければどうにもならない、という声はよく聞きました。多数派がその意を通していくのは議会民主主義として当然なのですが、何に対してどう意を通していくかが問われていると思います。
 新人議員が増えたとしても、議会内の意思決定の構図が変わらないとすれば、そう簡単には議会は変わらないかもしれません。そこをどのように工夫して議会改革をかみ合わせ、市政の改善につなげるかが私たちの仕事であると思います。

 委員会のことを書くつもりが、委員会人事をめぐるパズルのような書き方になってしまいました。委員会のことはまた別途考えます。