大汗かいた初質疑

 ○○さんの質疑の内容は、言葉の意味についてだったようです。国が変更した被災者救済の税の制度に合わせ日高市の条例を変更することについて何ら疑問を持たなかったので、言葉の定義的なことの重要性について認識がありませんでした。
 正直な所、誰が質疑の第一声を発するのか、プレゼン効果、宣伝効果があるのでこちらに開会前から関心がありました。注目度は上がるので、当然、このことを考えていた議員はいたと思います。結局、討論はなく賛成多数で採決されました。

 次は、「日程12 議案第29号 工事請負契約の締結について」です。
 これは、高麗川中学校北棟耐震補強改修工事について、一般競争入札で行われた結果としての「工事請負契約を締結することについて議決を求める」(市長の言葉)というものです。
 要するに、業者も金額も工期決まったのでこれで承認してほしい、ということです。
入札の告示は、4月8日に「一般競争入札の執行の告示」として市長名で出され、この入札が決定したことによる議決提案です。

 小中学校の耐震化は国策として、文科省によって推進されています。平成19年12月に政府は、地震による倒壊等の危険性の高い(Is値0.3未満)公立小中学校施設について、早急に耐震化を図ることにしました。
 平成20年には「地震防災対策特別措置法」が改正され、Is値0.3未満の公立小中学校の耐震化事業について、国庫補助率が引き上げられました。
また国の財政支援も拡充され、公立小中学校等施設の設置者である地方公共団体の財政負担が大幅に軽減されました。この法改正により、地方公共団体に、耐震診断の実施と耐震診断を行った建物(棟)ごとの公表が義務づけられました。
 日高市でも「小中学校耐震診断結果」について公表されています。また対象となる校舎、体育館の耐震化について工程表も発表されています。
 そして、今年度から始まる総合計画に合わせた教育振興基本計画(〜27年度)において、平成21年度で耐震化率59.1パーセントを27年度で100パーセントにする計画です。

 議案の資料として、次が提出されていました。
・契約の締結の概要としての金額、業者、工期および提案理由
・入札経過及び結果表
・業者との建設工事請負契約書
・工事場所の見取り図
 質疑といっても工事金額についての見積もりは非常に専門的なことであり、入札の仕組みに関しては私はまだ勉強が不足しており、突っ込んだ質疑はできそうもありません。しかし、こういう工事見積もりと入札に関しては何件も過去に議決があり、そういう意味では、通常のありふれた議案といえると思います。
 そうすると質問の勘所は過去の例にあり、ベテランの議員や建築に知見のある議員は質疑に参加できる所です。二人の議員が質疑を行いましたが、執行部の反応も心得た質問のように感じました。
 見積もりや入札に関しては今回、私は質疑できないと思い、他の質疑の可能性を探りました。そして入札や見積もりに関して、事前の情報開示をどのように行っているのか、という観点から質疑の手を挙げました。
 登壇してしゃべり始めたら、やじが飛び始め議会運営委員長の○○議員が壇上に上がってきて質疑を止めろ、という。議案に関係ないことだから質疑ではないので止めろ、ということらしい。やじも盛んに飛ぶ。
 私も、いきなりのことだからここで突っ張る理屈も咄嗟に出てきません。とりあえず自席に戻りました。何で関係ないんだ、と言うと、やはり関係ないことは質疑できない、という。いま議決提案を見ると、「契約の目的、方法、金額、相手方、工期」の5つについて市長は議決を求めています。
 つまり、この5つ以外のことは議決に関係ないことだから質疑はできない、ということ。ヤジと議運委員長からの指摘と議長からの催促で大汗です。議長は質疑を取り下げるか、変更せよという。大汗の中で暫し考えました。このまま取り下げるのも残念。入札結果を見て、決定価格が最低制限価格を上回っているのは何故か、という質疑を思いつき急場をしのぎました。
 入札については疑問を感じていることがあったので、その前哨として聞こうと思ったのですが、入札一般については関係ないことになるようです。しかし質問の趣旨と回答の仕方によってはこの案件特有の事由ともなりうるわけで、関係ないということにはならないと思います。
 関係ないと言ってしまえば、執行部の求める項目に忠実な質疑となり、議会自ら狭い範囲に自己限定してしまい、それが積み重なると委縮した結果になるのではないかと思います。役割を考えれば、何も執行部の器に合わせる必要はないと思うのですが、長い経験の積み重ねを前提とした『必携』ではこうなっています。
 「質疑は、議題になっている事件に対しておこなわれるものであるから、現に議題となっている事件に対して疑問点を質すものでなければならない。また自己の意見を述べてはならない。この場合の意見は、討議の段階で述べるような賛成、反対の意見であって、自己の見解を述べないと質疑の意味をなさないようなものについてまで禁止しているものではない」
 私は反対賛成を言ったわけではないので、上記末尾の『必携』解釈からすれば許される、といえないだろうか。とまれ、良い経験でした。新人議員は一度は質疑制止を言われるようです。それで委縮しては役割を果たすことにならないので、今後の糧にします。