大木切りの現場を見た

 今日は、思いがけず良いものを見ました。きっかけは、妻がワラビを取るので草木灰を用意しておいて、と言われたことでした。山際の雨除けをしたところにあるので、取りに行ったところ、私が世話をする山の隣の地所に、3人のヘルメットを被った作業員がいました。
 住宅地との境にあるナラの木を、依頼があったので切りにきているとのこと。聞けば、西川山林組合の職員だという。これは面白い。広葉樹の大木を切る現場が見られると思いました。
 山の縁でよく見られますが、木は何もない空間の方へと枝を伸ばしていきます。山際に住宅が出来てからナラの木は伸び放題、重心も北側にもかかわらず住宅の方に傾いています。台風などで倒れれば、数十メートルある木は確実に家を破壊します。人ごとながら気になっていました。依頼主は地主ではなく北側の住人だとのこと。これは、山に近接して家を建てたことによると思います。
 なぜ西川山林組合の仕事になっているのかというと。一人が話してくれました。
 この3本の木の伐採に数社が見積りをしたところ、みな辞退をしたという。いろいろな条件からして非常に難しい伐採で、技術的な問題が障害になったからです。説明してくれた人は大木切りの専門で、練馬区の地主の屋敷林や神社多いとのこと。



 3本の伐採を依頼され、1本を切り倒したところでした。根元から幹が2本に分かれている木は重心のバランスをとるのが難しいらしい。しかし、家と反対方向、見事に並行に倒れています。




 2本のワイヤーを30度くらいの間隔で張ります。これを、いま名前が出てきませんがワイヤーを張る機械で均等に引っ張り、根元に切れ込みを入れながら2本の間に倒そうというわけです。


 切り倒す側に切れ込みを入れていきます。この後、2人がワイヤーを引いて重心を移動させます。ミシミシという音がして倒れる予感。説明をしてくれた人(班長だという)は、声を出してひけー!と盛んに言います。均等に引かないと倒れる方向が意図したのとは違ってくるからです。



 頃合いを見計らって反対側に切れ込みを入れます。



 倒れる瞬間。ものすごい地響きでした。倒れた方向は2本のワイヤーの真ん中ではなく40度くらいずれていました。会心とまではいかなかった?


 年輪の中心から水が出ていました。表面の皮の内側は何とも言えないしっとりとした感じです。直前まで水を吸い上げていたことが分かります。
 ワイヤーを引っ張る声があまり元気なく感じたのは、森林組合を取り巻く経営環境のせいだろうか。山の維持にお金を投じることは国民の理解が得られるはずだ、と作業員の一人の方を元気づけました。武蔵台周辺の県の伐採事業のことは当然よく知っていました。
 ここに来て震災の影響が出始めているという。売れなかった間伐材の細い丸太が、仮設住宅の杭打ちに利用され不足している。国産材がどんどん利用されればいいと思います。飯能近辺の森林事情も話題になって、有意義な話でした。