議会先例集

 「日高市議会先例集」(第6版)という80ページの冊子が、当選証書付与の日に配布された資料の中に入っていました。市議会事務局によって平成6年初版、平成23年5月発行となっています。
 「先例集」という言葉から分かるように、「いままでこういう風にやってきたので、あなたもこれに従ってくださいね」という意味が込められています。規則として正式なものはこれとは別に、「議会会議規則」があります。
 内容をざっと見ると、議会の諸々に関する約束事を集めたもののようです。これは右左分からない新人議員にとっては行動の指針となるものですが、なかなか微妙なものもあります。
例えば、次のような先例。

168 市議会に関する内容を機関誌等で公表するときは、責任の所在を明らかにし、かつ公平性を保たなければならない。個人の氏名を掲載する場合は、本人の了承を得るものとする。なお、審議、検討または協議中に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が損なわれるおそれ、不当に市民の混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがある場合においては公表しないものとする。
(平成21年12月11日 全員協議会改正)
 これは、実質的に議会のことを公開してはいけない、ととれます。これらの禁止条項は範囲を拡大できそうなので、公表する内容は極めて限られてきそうです。これに抵触する公開を行ったらどうなるのか、懲罰の規定は先例集にはありません。
 先例集についてはいろいろな議論があるようです。法的にも一部効力があるとも言われているようです。内容も市町村によってまちまちです。いくつかの市の先例をみましたが、日高市の168のようなことを規定しているところはありませんでした。
地方自治法やその他諸々の法や条例にも規定されていないことで縛ることが妥当なのかどうか、どうも、はてしない泥沼の議論になるような感じがします。
 議事運営が議会規則とこの先例集によって運営されているなら、この先例集は公開されるべきと思います。前例の積み重ねとしての議会の常識が、必ずしも市民の常識と合致するとは限りません。HPはもちろんですが、冊子の公開及び少なくとも傍聴に来た人に見せるべきと思います。
 議会規則もあるはずですが、市のHPでは出てきません。全国の市は、全国市議会議長会が策定した「標準市議会会議規則」によって議会を運営しているのですが、先日の事務や手続き説明では触れられていませんでした。