無投票当選



 告示日の朝です。準備完了でこれから市役所へ行って、立候補の正式届け出を行います。いわゆる「出陣式」なる儀式はなしです。
 車は借りたもの、自前でいきたかったのですが、保険のことや、スピーカーを付けるための屋根のラックなどの関係で借りました。選挙関係の法律である公職選挙法では、選挙の方法の基本に、街頭宣伝車を位置付けているので、使わないで選挙をすることは難しい一面があります。今後、選挙制度を考える上では一考に値する項目です。
 スピーカーは友人からの借り物、屋根に付ける看板は作りませんでした。お金がかかります。看板制作には。その代わり、全面磁石の名前入りシールを作って、左右前後に貼りました。これで十分です。
 看板はでかすぎた。県議候補の看板の作成元で作ったので、、つい、同じものでいいです、と言ってしまった。
 無投票当選の可能性が色濃い中での選挙活動です。しかし5時までは力を入れて街頭演説をすることにしています。5時に選管から発表があり、市民には防災無線で、候補者には事務所に電話で連絡があるとのこと。
 第一声は、日高団地のロータリーです。M候補の事務所前には出陣式で沢山の人が集まっています。すごい動員だなぁ、どうしてあの人にこんなに集まるのかと感心しました。近くの県道と国道の交差点でもY候補の出陣式をやっていました。こちらも大勢いました。??です。
 ヤオコー、マルヒロ前ほか市内8か所で街頭演説を行いました。いずれの場所でも、無投票になる可能性があること、そのことが地方議会の機能をますます低下させることを訴えました。そして万一、無投票になったら、今後4年間の仕事を厳しく見て頂いて判断してほしいことをお願いしました。
 行く先々で出くわしたのは、共産党公明党選挙カーです。両方とも若い専門のうぐいす嬢がマイクを握っていますが、こちらは候補者自身が演説以外の発声も兼ねるおじさんカラスです。他の候補の車には余り会いません。
 そして、5時5分前……
 旭ヶ丘と高萩駅の間の新しい住宅地で演説をしていたら連絡が入りました。全員当選、無投票で! 残念! 望んだ選挙戦でしたが、選挙カーの中で歓声が上がりました。そして5時丁度、防災無線の放送がありました。
 演説の途中です。止めるわけにはいきません。
 いま連絡が入って全員無投票当選になったこと、選挙活動はここで打ち切りになること、選挙の洗礼を受けない議員としては大きな重荷を背負ったわけだが、今後4年間の仕事で判断をして頂きたいこと、そして評価に耐えられるよう頑張る、と結びました。
 場所は、区画整理地の先まで見通せる道路です。100メートル先くらいで先で掃除をしていた男性がいました。ほうきを使う手がピタリと止まり、顔をあげました。
 そして手を上げてくれました。こちらも返礼の挨拶をすると、ほうきを投げ出し両手をグルグル回して応援の意志を示してくれました。
 たった1日でしたが、選挙活動を締めくくる嬉しい出来事でした。