マスタープラン最終決定はどうなったのか

 市は、ホームページでマスタープランの検討結果を発表しています。その内容を転載します。市の掲載は、次の3つに分けて表にされていますが、ここでは本文のみを掲載します。
 ①提出された市民コメントの要約、
 ②それに対して市の考え方
 ③それに基づいての、マスタープラン訂正の有無
 以下 ≪有≫ は、市が私の意見に対して、市の原案を訂正する、としたもの。
    ≪無≫ は、市が私の意見に対して、市の原案を訂正なし、としたもの。

 私の意見に対して、3つを除いては、市の原案を訂正するとしていますから、まぁ、意見は聞いていただいた、というべきでしょう。その評価と市の全体の方針についての感想は、また別に書きます。


日高市都市計画マスタープラン(案)
【市民コメント募集の結果の概要】


(1)「都市づくりの現況と課題」に関するもの


【私の意見の要約】
 現況の説明では、平成17年度までの国勢調査の数値を根拠としており、その後の現況を表していない。補足するなど、平成22年度の日高市の姿を現すべき。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫ 
 現況では、5年毎に全戸調査で大規模に実施している国勢調査のデータをできるだけ採用しています。なお、国勢調査は、平成17年度データが最新のため、「人口の動向」は平成22年4月現在の住民基本台帳のデータを使って補足説明を加えています。 国勢調査に含まれないデータもありますが、ご意見を踏まえ、できだけ最新のデータに見直していきたいと考えています。


【私の意見の要約】 
 土地利用や農地関係は、特に現況に至る経過の説明が必要であり、現状の説明では課題を認識するのに不足と思われる。都市計画に関するインフラ関連の主要施策の策定経過を時系列で示す必要がある。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 土地利用やインフラなどの経緯は、「1.都市の現況」(P.5〜)で示しています。
 市街化調整区域の人口や土地利用の動向をわかりやすくするため、「(2)人口の動向」や「(4)土地利用の状況」の中で土地利用緩和の経過や効果を追加することとします。


(2)「将来都市構造(案)」に関するもの


【私の意見の要約】
 中心市街地の形成が発展途上の中で、優良な市街化の誘導と、何よりも区画整理事業の完成が先決。「コンパクト」は誤解を招きやすい表現であり、20年先の姿をイメージしたとしても「優良市街地の創生」が課題だと思われる。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 将来都市構造では、市街地(拠点)への都市機能の集約を重視し、コンパクトにまとまった市街地形成という面も大切な方向性としております。また、「土地利用の方針」(P.32)では、「良好な市街地」を重視しています。 しかしながら、より明確化するため、将来都市構造(P.26)の見出しを『「計画的な拠点集約型都市構造とコンパクトな市街地」の構築』に変更します。更に、「土地利用の方針」(P.32)の「方針の考え方」の中に「計画的かつ良好な市街地の形成」を位置づけます。


【私の意見の要約】
 「市街化誘導地区」は全部で5箇所(住宅・商業系が2箇所、工業系が3箇所)であるが、土地政策として最も重要であるため理由の記載が必要。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 ご意見を踏まえて、高麗川市街地の北部と南部の工業核については「市街化区域に隣接した地区」(P.77)、高麗川駅西口地区の西側については「高麗川駅に近接した利便性の高い地区」(P.75)、市役所周辺地区については「公共施設が充実している地区」(P.75)、高萩北部産業・工業系ゾーン内の地区については「市街化区域に隣接した地区」(P.93)として、それぞれ適切な土地利用の誘導と都市機能の向上を図るためという理由を地域別構想の中に記載します。


【私の意見の要約】
 ベイシアがある地域の市街化は、「産業系新市街地」というきわめてあいまいな性格付けのままの誘導である。このまま市街化を誘導することは、現状の混交を容認し更にそれを拡大することになる。あいまいな区分をやめ、住宅・商業への明確な市街化を性格づけるべき。
【意見の採否と市の考え方】≪無≫
 総合計画の「将来土地利用構想」の中で、産業系新市街地地域として位置づけられる地域です。 実際に市街化が具体化していく段階では、明確な市街地の位置づけを整理していく必要があります。


【私の意見の要約】
 高麗川市街地南部工業核の八高線を超えた地域への拡大をやめるべき。無秩序な拡大であり、明確な根拠がない。市街化の拡大により小畔川と下小畔川の両河川の汚水化が進行してしまう。市民会議の意見が反映されていない。
【意見の採否と市の考え方】≪無≫
 総合計画「将来土地利用構想」の中で工業系の土地利用に位置づけられる地区です。県道飯能寄居線バイパス沿道の工業核は、市街地に隣接していることから、無秩序な開発とならないように計画的な基盤整備を前提として市街化を誘導することを位置づけたものです。 なお、基盤整備には河川の汚染防止のための公共下水道なども含まれます。
 また、本地区西側の「山林・緑地」や「里山保全」は、市民会議の提言を受けて位置づけているものです。


【私の意見の要約】
 高麗川南東部、高萩南西部に広がる田園地帯にもふれあい交流軸を設定すれば、農業、環境、自然、景観資源は、20年後の市民生活の向上に貢献するはずである。そして、この田園軸と西部の原案であるふれあい軸をドッキングさせることが「日高市全体を満喫できる観光施設の充実」となり、「市民全体が満喫できる健康・福祉環境の充実」につながる。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 『西部地区』のふれあい交流軸は、総合計画の将来土地利用構想の「ふれあいゾーン」に基づいています。 『東部地区』においては、市民会議の提言書を受け、『水と緑との共生方針』(P.53)や地域別構想『東部地区』(P.115)の中で高麗川南東部や高萩南西部に広がる田園沿いに「里山保全」を位置づけています。 「里山保全」をより明確化するため、「東部地区」の方針図(P.118)に高麗川南東部や高萩南西部に広がる田園沿いの「里山や屋敷林の適切な管理の促進」を追加します。


(3)「全体構想(案)」に関するもの


【私の意見の要約】
 日高市の農業系土地利用は、大規模化と農地集積化では実現不可能。市民の健康生活の貢献する20年後を見据えた方針とすべき。地産地消のための小規模農業を奨励し、地域の実情に合致する隙間農業に転換すべき。都会の消費地に近い近郊農業には、有機農業の振興が必須。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 『土地利用の方針』の「身近な農業生産場所の確保(農業系土地利用方針)」(P.41)の中では、「地元農産物の消費率の向上」として地産地消を位置づけています。 詳細な農業施策に関するご指摘の点については、農業部門への貴重な意見として参考にさせていただきます。


【私の意見の要約】
 まちづくりの重点方向として「豊かな自然環境の保全」をいうのであれば、「緑の基本計画」の策定をマスタープランの中で謳うべき。
【意見の採否と市の考え方】≪有≫
 『水と緑との共生方針』の「豊かな自然環境の保全」(P.53)の中で更に計画的な手法を明確化するため、「計画的な自然環境の保全」に「緑の基本計画」を位置づけます。 なお、「利用しやすい公園づくり」(P.56)の中では、既に『「緑の基本計画」による計画的な公園緑地づくり』を位置づけています。


【私の意見の要約】
 埼玉県では、景観条例に基づく景観計画や公共事業景観形成指針を作成し、自治体にも策定を勧めている。「豊かな自然と景観」を後世に残すことは、日高市市民のアイデンティティを高め、地域で生きる力を醸成する。景観条例と景観計画をマスタープランで位置づけるべきである。
【意見の採否と市の考え方】≪無≫
 日高市は、現在、埼玉県景観計画の中で景観計画区域に指定されています。また、本マスタープランでは、『まち景観の形成方針』の(P.61)の中で「自然および歴史的・文化的景観形成」と「地域特性を生かした景観形成」として市独自の考え方を位置づけています。景観保全および形成には、様々な取り組み方法があります。具体策は今後の検討課題であると考えています。