たがの締め直し

 「たががゆるんだ官邸と民主党」と書いたら、何と「たがの締め直し」がとんでもない形で現れました。総理と幹事長辞任。たがは締まるのか、あるいは閉まり方の具合が悪く、たがが切れることになっていくのか。両方あると思います。
 そういえば、私の桶ですが、たがの戻し方が悪かったせいか、水が浸み出しています。たがの位置は、下は桶の下の淵から少し上に置かれています。上のたがも、下と対になるように上の淵から少し下に位置するはずなのですが、上端に戻してしまいました。
 その状態で水を入れてしまったので、圧力のかかり方が上下均一ではなくなってしまったと考えられます。上の方で強く締め付けられ、下はその分、締め付けが弱くなって、目に見えないすき間ができて、そこから浸み出しています。
 桶は水漏れが一滴も許されない技術の産物ですが、組織は人間の集合。緩むことは当たり前、むしろ水漏れが一滴もないような締め付けられる組織は異常です。緩むことを前提とした“柔構造”と捉え、そのゆらぎとしなり方を制御しながら合意に至るようにするのが民主主義の仕組みだと思うのですが、口で言うのは易く……です。
 政権交代と新首相には、そういう期待も漠然とあったと思います。
 小沢氏の辞任には85パーセントが賛成。鳩山氏の辞任には、記憶ですが60数パーセント?
 印象に残った、辞任に際しての市井の意見。「鳩山氏は今までとは違ったタイプの人で期待はしてたが……」。
 テレビの中での新聞記者の二人の意見。一人は「小沢氏は選挙技術は超一流」。もう一人「過大評価しすぎとその一人歩き」。リーダーを選ぶのは難しい。国政でも、地域でも何ら変わることはありません。地域の動きを見ていて常にそう思います。
 “いい人”と褒められる人がいいとは限らない、人の意見を聴くだけの人がいいとは限らない。公平・平等、複雑、多様の中から、どう合意を編み出していくのか、永遠の課題です。
 その過程を表現し共有していくのがコミュニケーションと言葉です。そうなると、ますます難しい問題となりますが、これまた、探究を止めることのできない永遠の課題です。