エンドウマメは偉い!

 エンドウ豆のおいしい季節です。家庭菜園をやっている人は、必ずこのエンドウ豆を作るようです。種類はいくつかありますが、私は、キヌサヤとスナップエンドウを作っています。
 だれでも手軽に作れる作物ですが、本当においしいものが十分獲れているのでしょうか。菜園をやっている方はどうですか?
 車に乗りながらでも、あちこちの畑で見かけます。どこでも、みな立派な背格好に成育しています。しかし、車から見ても、自分の畑の近くのものを見ても、背丈は立派でもどうも花が咲いていない、ということは実が付いていないようなのです。
 そして、ちらほら花を付けてから、あっという間に全体が黄色くなって枯れかかってきている例もあります。
 花を付けない、実がならない、早く枯れてダメになる――これらの現象は、エンドウ豆たちの抵抗の証であって、こんなにはっきりとこの現象が出る作物は他にはなかなかないと思います。
 私の経験では、エンドウは肥料をやらなくても、むしろやらない方がよくなるし、木も長持ちします。もちろん、肥料をやらなくても育つ畑づくりをしているからですが、それにしても、エンドウは肥料を嫌う性質がはっきりしています。
 葉物野菜は肥料をやればやっただけ、ぶくぶく太り、消費者はそのメタボを立派なヤサイと勘違いします。エンドウは、早く成れ、たくさん成れ、という人間の欲得に、“嫌だよ”というのです。
 またたくさん成るようにと、豆を近接して播き、密稙の状態が一般的です。これもはっきりと“嫌”を示します。密稙はもうほとんど実を付けない、と言っていいくらいです。一条播きで、20、30センチの間隔で播くくらいの疎稙がいいようです。エンドウは込み合うのが嫌いです。
 そんな欲得をきれいさっぱりにして、エンドウは、無肥料でパラパラっと播く疎稙でやってみたらいかがですか。

 私のスナップエンドウです。疎稙で無肥料、これだけ沢山なり、収穫期間も長い。肥料をやるという人為を施さなくても、豆はしっかりと自然の仕組みの中で子孫を残そうとします。

 昨年の今頃だったか、近隣地区に住む主婦の来訪がありました。私のエンドウを孫が非常に好み、私のならば食べる、というので、ありったけのエンドウがほしい、ということでした。私は、アリサンに出したものを買ってほしいことを言って深謝しました。

 肥料をやらなければ糖度が増して、豆本来のおいしさが際立ってきます。市場に出ているエンドウは若いサヤのものが多く、味は淡白なものが多いです。しかし、無肥料のもので豆が膨らんできたエンドウの甘みは格別なものです。

 よく一羽で遊びにくる山鳩。1メートルの近さまで寄ってきます。雑穀やくず大豆やくず麦、もみや畑のコムシなど、おいしいものが沢山あることをよく知っているのです。
 山鳩は、もともと人懐こいというか警戒心が薄い性格のようです。それで食べることに夢中になって周囲に警戒心が薄くなっていることがありありと分かります。こんな近くまで来て、しかも後ろを見せている。

 おい、だいじょうぶか、と思わず声をかけます。それと言うのも、時々、鳩の羽が散乱しているのを見ます。多分、猫に襲われたのでしょう。野良猫たちは作物の陰に隠れて辛抱強く待ちます。私の掘立小屋に一宿を求める距離3メートル猫もそうです。
 野良たちも食うことに必死です。