自治体財政、市民の目で監視を

 市の財政を勉強しようという話が、武蔵台の何人かの知人から出て、何回か話をしました。そのうちの私と市議の川田さんが「日高まちづくりフォーラム」のメンバーで、地方自治の問題や市の政策・財政をいっしょに勉強しています。
 日高まちづくりフォーラムは、平成15年以来、これらの問題を体系的にあるいはその時々の問題に関連して追究してきました。そういう背景があるので、この際いっしょにやろうとなり、今回のプロジェクトを起こしました。


 私はいま、市の総合計画の市民会議に出席しています。あと数回で予定された会議が終わります。その経過についてはいずれ書きたいと思いますが、今後の10年の市民生活を考えるうえでこの総合計画の中身の検討とそれに連動する市の財政について知ることがいかに重要か痛感しています。
 最近の自治体の財政逼迫と地方主権の動向からして、総合計画が今までの作文以上に、予算の執行根拠になる趨勢です。このことについては多くの議論をしなければならないところですが、関心は浅いというのが実情です。
ならば、現状の市のお金の使い方から入って、事業仕分けの発想もいくらか加味しながら「自治体の財政を市民の目で監視」する意義を学ぼうというのが、今回の講演会とその後に続く市民勉強会の趣旨です。
 1年間続く公開勉強会として多くの人が参加し、議論を行って何らかの報告ができればいいと思っています。前回、日高まちづくりフォーラムで財政学習を行った時は、1年間日高市の決算カードと付き合いましたが、10年の趨勢をとるのに数値を手で計算するなど苦労しました。その割には全体像を描き出すところまでは行かなかったのですが、今回は、決算カードの全データをエクセルに既に落としてありますから、これを縦横に使いながら日高市の特徴と問題点を出せるはずです。
 それと、市民が税金を払う意義の再認識です。私たちが国に、県に、自治体に個人としていくら税金を払ってリターンがどのくらいあるのか、この認識の浅さが致命的欠陥ではないかと思います。これでは、納税者意識も、税金を使う決定を行う代理民主主義への関心も、執行する者への監視意識も育ちようがありません。
この辺の問題意識も探りながら、両面から学習できたらいいと考えています。
 「日高まちづくりフォーラム」ではこんな財政勉強をしてきました。

「日高まちづくりフォーラム」 主要活動実績とテーマ

(「合併とまちづくりを考える日高市民会議」として発足、平成19年現名称に変更)
 平成15(2003)年6月8日発足から現在までの主要な活動実績を掲げます。
1 合併問題講演会開催。「中央大学教授 関野満夫――市町村合併自治体財政」
 平成15(2003)年7月日。講演録『市町村合併自治体財政』平成15(2003)年9月12日。会則、参加呼びかけ、市町 村合併に関する国と日高市の動向、住民投票について、など収録。
2 市町村合併問題講演会開催。「新潟県加茂市長 小池清彦――国を亡ぼし、地方を亡ぼす市町村合併に反対す る」。付属資料 小池清彦「自衛隊イラク派遣を行わないことを求める要望書」
  平成16(2004)年、2月14日
3 内部資料「NEWS OF NEWS」発行(2003?月〜2005年9月通巻37号)
4 ニューズレター「まちづくりと合併を考える日高市民会議」潤・P発行。平成16(2004)年2月。
5 大和田―紘(自治体問題研究所事務局長・埼玉大学講師)「実践的市町村財政分析」の輪読と自治体決算カード の勉強を平成16(2004)年3月より開始。テキストは、『住民と自治』平成14(2002)年12月〜連載、平成17(2005)年 1月に単行本『これならできる市町村財政分析』で出版された。
6 まちづくり講演会潤・P開催。「長岡素彦(協働→参加のまちづくり市民研究会)――体験 ワークショップ〔協 働による参加はこうすればうまくいく〕」平成16(2004)年5月14日
7 まちづくり講演会潤・Q開催。「大和田―紘――これでいいのか、日高市のお金の使い方〔財政から考える地域 社会像〕」平成16(2004)年6月18日
8 日高市出前講座開催。「財政課財政係長 鈴木雅広――ひだか家の家計はどうなっているの?〔入門編〕」。平 成16(2004)年8月8日。
9 「ニセコ町自治基本条例」の継続的勉強の開始。平成16(2004)年9月。『ニセコ町予算説明書 平成16年度版  もっと知りたいことしの仕事』(ニセコ町刊行)を全員が購入、説明責任を最も果たしているとされ、全国の自治 体のお手本であるニセコ町の手法を勉強。
10 日高市主催、関市長出席「市町村合併に関する市民懇談会」で質問書に基づく質問を行う。平成17(2005)年1月 25日。
11 「これからの市民会議」(平成19年を目標とする今後の市民会議の方向と勉強計画のイメージ図)、会員用内部 資料。平成17(2005)年2月9日。「日高市民会議ニュース」発行(2005年3月)。
12 日高市出前講座開催。「財政課財政係長 鈴木雅広――市のお金の使いみちと日高市の将来像」。平成17  (2005)年3月14日。
13 11のイメージ図に基づき、8項目のテーマから市民生活に最も身近なテーマであり有料化も検討されだしたご み問題と開発が問題となっている巾着田の二テーマを、個別テーマに決定。
 ごみ問題については、平成17(2005)年8月2日に第1回勉強会、提言に至るまで8カ月間あらゆる角度から調査と 勉強を行った。その過程で、「狭山市環境基本計画」「飯能市環境基本計画」も併せて研究。
 巾着田に関しては、現状把握と景観3法の問題から、マスタープランおよび都市計画法第34条第8項3,4に基づ く日高市土地規制緩和の課題に進展。
14 前項勉強の成果を踏まえて、公開出前講座を開催。「日高市環境課――ごみの有料化を考える」平成18(2006) 年3月25日
15 日高市長へのごみ問題提言発表。「市民との協働によるごみ処理問題解決を目指して――減量化・有料化をめ ぐる市民的議論への『まちづくりと合併を考える日高市民会議』提言」平成18(200)年5月1日。
16 埼玉県出前講座を開催。「土地規制緩和と日高のまちづくり」(講師:埼玉県都市整備部開発指導課)平成18 (2006)年11月25日。
17 日高市土地規制緩和見直しについて市民コメント提出。「都市計画法第34条第8号の3及び第8号の4の既定に よる指定区域の見直しについて」への2件の意見を提出(市民コメントと埼玉県出前講座開催時作成した質問)。平 成19(2007)年1月31日。
18 平成19年度の学習テーマ【夕張問題、土地規制緩和見直し、環境基本法・基本計画、都市計画マスタープラ ン、議会プロセスと市民・行政、頑張る地方応援プログラム・地域バイオマス活用促進事業と補助金、】
19 平成20年度の学習テーマ【日高市の農業問題と国・県の農業施策(ほぼ1年を通じて)、市民の足、日高市財政 勉強課題について、日高市財政課題のより具体的テーマ】
20 平成21年度は、聖学院大学との共同研究「日高市財政と行政サービス――市民の交通手段の問題を手掛かり  に」を行い、現在までその問題を継続させつつ、市の政策と財政について研究。