福祉ネット市場とノラボー

 日曜日は第3回福祉ネットの市場開催日でした。朝から晴れ上がり暖かく気持ちのいい日でした。
 2回までの市場では、設営の担当で机や椅子を運んだり、看板を作ったりして、自分の野菜を出品する時間がなくなってしまっていたのですが、今回はそれをはずしてもらって、朝から準備をしました。
 出せる品物は、ノラボー、ワサビナ、菜の花、ダイコン、ホウレンソウなどでしたが、時間が足らず、用意できたのは最初の三つでした。
 3回目となると、事情が分かったせいか人出は少なめ。それでも、いつもはひっそりとしている商店街広場には三々五々住民が集まってきました。出店は前回と同じ店でしたが、条件の手違いなどあって会場は2か所に分散、いろいろむずかしい問題もあります。
 鶴ヶ島からやってきたチンドン屋はすっかりお馴染みとなりました。ボランティアでやっているとは言うものの、見せて聞かせて楽しませる意気込みはプロ級、大したものです。

 野菜はノラボーがよく売れました。知っている人は、ノラボーのおいしさをよく知っています。軸のおいしさをアスパラのよう、と表現した人がいました。全くその通りです。本来、葉野菜のおいしさは軸の部分にあります。柔らかくくせのない味は、しょうゆやマヨネーズ、ごまやかつおぶしなど、どんな味付けでも合います。1、2分でさっと熱を通し、茹ですぎ、蒸し過ぎないことが、おいしく食べるこつ。
 ノラボーは、花茎を食べるカキナの一種です。もともと埼玉県西部地方での地場野菜でした。このおいしさが雑誌やテレビで伝えられ、また地域のタネ屋さんが販売するようになり、よく知られるようになりました。

―後ろの黄色い花はノザワナです―


 昔から飯能、寄居、小川から秩父にかけて栽培されていたようです。このタネが生き残ってきたのは、他の菜っ葉類と交雑しないからです。隣り合せになっていても混ざりません。この特徴が生き残ってきた理由です。
 無肥料でよく育ち、栽培しやすさも特長です。自分でタネ採りが簡単にできます。私も、毎年たくさんのタネを採り、播くときには何の躊躇もなくぜいたくにタネを掴んでまき散らします。買ったタネを播くときは細心の注意で無駄のないよう効率的に播きますが、ノラボーを播くときは太っ腹に豪快にまきます。これが出来るのは、ノラボーの他に交わらない性質があるからこそです。
 無肥料で成長した私のノラボーは、太い軸を折ったときに、パキーンと硬そうな音を立てて折れます。すべて手でポキン、ポキンと折れますが、熱を通すととろりとした柔らかさが出てきます。こんな“性格のいい”アブラナ科の野菜があることは地域にとって嬉しい限りです。