平地林を保全することについて――荒川流域再生シンポジウムから

 2月11日に国立女性会館で行われた、荒川流域ネットワーク主宰の第13回荒川流域再生シンポジウムの感想です。すぐ感想を書くつもりでしたが、開催場所の国立女性会館について2回書いてしまって手つかずでいました。(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/?of=10 http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20100212)
 シンポジウムでは3本の主題について報告と討論が行われました。
 1. 源流の森林を活かす流域市民の課題
 2. 平地林を保全し、冬水田圃を復活する(「平地林の保全」と「コウノトリの復活」の二つのテーマで構成)
 3. 東京湾から昇るアユの遡上環境をつくる
 このうち私の関心を最も引いたのが2.です。平地林の保全里山保全ということで、その環境が首都圏50キロ圏で最も残っている日高市にとって、大きなテーマです。しかし、そのことを日高市の市民はよく認識していないし、議会、行政にはそもそも関心が無いように思えます。
 近隣自治体の市民や行政がどう認識しどんな活動を行っているのか、もっとよく知るべきだと思います。
 平地林保全のテーマに具体的にアプローチする内容が、サブタイトルでもある「都市に隣接する平地林の活用法と税制システム改正への提言」です。発表者は「さやま環境市民ネットワーク緑の分科会」リーダーの小川氏。
 小川氏の所属するさやま環境市民ネットワークは、「狭山市が新しい『狭山市環境基本計画(平成15年3月)』を策定する際、市民多数の参画のもとで策定作業が行われたことが契機となり、平成15年12月、行政と協働して計画の具現化をめざす市民組織として発足。以来、緑・川・ごみ減量・温暖化対策の4つの分科会が中心となり、積極的に 環境保全に関わる活動を展開してきた」(HPの設立趣旨より)。 
 この趣旨のもと、さやま環境市民ネットワークのみどり分科会の活動は平地林の保全が一番の目標になっています。小川氏の発表も平地林に関するある事実の解説から始まりました。

 この図(ネットワークHPより)は、狭山の風景を支える山林が1965年当時800haあったのが2000年には400haと1/2に減少ししてしまったことを示しています。狭山の雑木林の平地林も、所沢や三芳町と同様に、江戸時代の初期に新田開発と同時に出来たそうです。これが激減した理由は何か。
 農家の人手不足と、山林が相続税対策で財務省に物納、売却されることにある、と小川氏は指摘しました。
 そして、日本の相続税システムが時代の要請に応えていないことを訴え、平地林にかかる相続税が高くなるのを改めるよう、さやま環境市民ネットワークは、市や県をはじめ財務省国交省環境省に2006年、要望書を提出しました。
 また最近では、埼玉県の「緑のトラスト運動」に参加し、市あげての運動の結果、狭山市の堀兼・上赤坂の森が指定されたことも報告されました(下のポスター)。
 2.のもう一つのテーマテーマ「コウノトリの復活」については、「鴻巣の環境を考える会」の川島氏が発表。「荒川流域にコウノトリを復活させるためのロードマップづくり」のタイトルで、鴻巣市での復活活動を紹介しました。
 川島氏は荒川流域ネットワークの理事として会議などでもよく同席しますが、非常にコウノトリの保存には熱心な方で、トキとコウノトリの生息地である佐渡豊岡市に出かけ、観察・調査を行っています。また、市販一般米よりもかなり高額な生息地田んぼでできた米を購入するなど、支援しています。
 さて、この発表に対して、どんな反応があったか。